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聖南西=区域外研修で刺激受ける=日本語教師ら研鑚に励む

ニッケイ新聞 2011年6月3日付け

 聖南西教育研究会(会長渡辺久洋)は5月14日、国際交流基金の「さくらネットワーク」の支援のもと日帰り区域外研修を行った。同研究会は毎年1月に、日本語教育に関する情報の収集と教育技術の向上を図ると共に地域の教師の親睦を深める目的で二泊三日の教師合同研修会を行っている。さらに、地域外の日本語教育や日本語学校の様子を知り、新たな教育方法や技術などを学び、地域を超えた日本語学校及び教師と交流して繋がりを築くために、数年に一度の割合で区域外研修も行っている。
 これまで同研修で汎パウリスタ地区やノロエステ地区、マリンガ地区などを訪問しているが、宿泊を伴う遠方への研修には参加できない教師もおり、今回は汎ソロカバナ地区のタウバテ日本語学校を日帰りで訪問した。
 タウバテ日本語学校は、週1日土曜日に文化活動を含めた授業を3時間行っており、この日は通常の授業時間を変更して授業見学の体制を整えて訪問を受けた。
 またこの日はタウバテ近郊のピンダモニャンガーバ日本語学校からも5人の教師が参加した。
 午前11時、聖南西地区7校の日本語学校教師23人と文協役員3人を乗せたマイクロバスがタウバテ日本語学校に到着し、一行はそのまま授業見学に移った。
 授業ではタウバテ日本語学校の6人の教師がそれぞれの担当のクラスに分かれて授業を行い、聖南西地区の教師は教室を回りながら、それらの授業を真剣な眼差しで見つめメモを取ったり、掲示物を写真に撮るなど積極的に学び取ろうとする姿勢が見受けられた。
 授業の最後の20分間は、今度は聖南西地区の教師が生徒に対する活動を行う交流授業を行った。一方的に授業を見学するだけでなく、授業をし見せることによってお互いが参加し勉強することができると好評であった。
 昼食時にタウバテ文協会長の和田雄一氏より歓迎の挨拶があり、他地域からの授業見学の訪問を受けるのは初めてのことだが、今回のこの繋がりを今後も大切にし、日本語教育の発展につなげて欲しいと大きな期待を寄せた。
 昼食後は4、5人ずつの7グループに分かれて懇談を行い、それぞれの学校の事情や授業方法、教材、教師の悩みなど自由に情報交換をしながら教師の交流を深めた。
 また聖南西教育研究会の文協代表として参加したコロニア・ピニャール文協会長の西川修治氏、ピエダーデ文協学務理事の上村信明氏、ピラール・ド・スール日本語学校校長の上芝原実夫(かみしばはら・さねお)氏は、和田氏や元文協会長の田尻氏と懇談を行い、教師だけでなく地域を超えた文協の繋がりを築いた。
 午後4時過ぎ、タウバテ日本語学校を出発した聖南西教育研究会の教師からは、タウバテ日本語学校は広くて新しく設備も整っていて、教師が6人と多く、また若くてエネルギッシュだと驚嘆の声が数多く聞こえた。
 また日帰りとはいえ、最も遠方から参加したカッポン・ボニート日本語学校教師の上村千代子さんは片道7時間をかけて参加し、「懇談会で結構みな同じ悩みを持っているのだと気付いた。大変だったが、いい研修だった」と述べ、他の教師も、他地域に研修に行くことは非常に勉強になり、また刺激を受けるので今後もぜひ続けていってほしいと口をそろえ、来年度の実施を願っていた。

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