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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年7月6日付け

 自らの責任においてレアル・プランを実行し、現在のブラジル隆盛の礎を作ったイタマル元大統領が2日死去した。思えば、17年前のちょうど7月1日に同プランは発表された▼クルザード・プランや夏季プランなどの数々の経済政策が導入され、総てが失敗に終わった80年代。サルネイ政権5年間のインフレ率はなんと100万%に達し、とどめは90年のコーロル・プラン。コロニアにはデカセギブームが起き、コチア産組、南伯などが潰れていく〃魔の90年代〃となった▼イタマル氏が副大統領から昇格した92年のインフレ率はなんと2200%! それが94年のレアル・プラン以降ピタリと止まった。それ以前は通貨切り下げが頻繁に繰り返され、紙幣に載せる肖像画の偉人の遺族が「どうせすぐ使われなくなるなら使用を許可しない」と怒ったとの記事まで出た▼いま合併が取りざたされているカレフールやポン・デ・アスーカルが大発展したのもプラノ・レアル以降だ。いかに安定した経済が重要であるかを如実に表している▼そして忘れてはいけないのは、歴代の大統領中でイタマル氏は唯一、スキャンダルに巻き込まれなかった潔白な政治家だったことだ。逆にいえば、だから印象が薄いともいえる▼大統領の罷免裁判という超弩級のスキャンダルで免職したコーロル大統領の後釜として、イタマル氏は副大統領から昇格した。その後には名声高いカルドーゾ大統領。派手な二人に挟まれ、どうしてもイタマル氏は地味なイメージが強い。コーロル大統領という最悪の時期にこそ、次世代の新芽がその政権内に吹いていた。今の日本もそうであってほしいと切に願う。(深)

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