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第八回ブラジル太鼓選手権大会=パラナ州が3部門で優勝=クリチーバ=若葉太鼓がジュニア優勝

ニッケイ新聞 2011年8月2日付け

 心震わす太鼓が響く—ブラジル太鼓連盟(島田オルランド会長)主催、『第8回ブラジル太鼓選手権大会』が先月31日にサンパウロ州プレシデンテ・プルデンテ市のプルデンテ体育アトレチコクラブで開催された。10代、20代を中心に、全伯から大会最多となる30チーム約400人が出場。「優勝」へ向けた思いを太鼓に込め、勇壮な熱演を繰り広げた。ジュニア部門ではクリチバの「若葉太鼓」が制し、日本である全国選手権への切符を手にした。リブレ(一般)部門でもパラナバイの「寿太鼓」が栄冠を勝ち取った。

 遠くはブラジリア、南大河州などから500人以上の選手や家族が訪れ、会場の周りは貸切バスでいっぱいになった。今年はジュニア部門(18歳以下)に12、リブレには13、マスター(45歳以上)に3、スペシャルに2チームがそれぞれ出場し、一年間の練習の成果を競った。
 大会に先立ち、日伯両国歌斉唱、先亡者へ黙祷、昨年度覇者の「オザスコ轟太鼓」、「サンジョゼドリオプレット初美太鼓」から優勝トロフィーが返還された。
 午前9時からジュニアの部が開始。打ち手は揃いのハッピを身にまとい、凛々しい表情でステージに立つと、「宜しくお願いします」と日本語で挨拶。立ち見が出るほどの超満員となった客席からは、ボンボンや横断幕を用意した応援団が大声援を送った。
 演奏に大小の長胴・桶胴・締太鼓の他、鈴や横笛を用いるなど、限られた人数で特色を出そうと工夫が見られた。
 各チームは課題曲を自らアレンジして演奏、大人顔負けの迫力ある音で会場を圧倒した。どのチームでも「ガンバレ日本」の掛け声が入り会場を沸かせた。
 同市在住の飯島美佐子さん(73、二世)は、「皆さんとても上手ですね。若い人がこれだけ一生懸命に叩く姿を見ていると、音が心にまで響いてきます」と語った。
 午後からはリブレの部に入り、音の大きさや一体感が更に増した。45歳以上のマスター部門でも拍子をしっかりと取り演奏、大太鼓個人では2本のバチのみで展開を構成し、巧みなバチさばきに拍手が上がった。
 昨年度優勝した2チームも演奏した。世界大会参加のため今月9日に日本へ発つ轟太鼓は、「ブラジルを代表して一生懸命演奏してきます」と挨拶し、観客は拍手で送った。
 表彰式では、5位から準優勝までは会場からの歓声が大きかったが、優勝発表では一転、会場全体が静まり固唾を呑んで見守った。
 チーム名が発表されると、緊張していた表情が崩れ、号泣して抱き合っていた。客席からも雄叫びに近い声援がステージの選手に注がれた。
 ジュニア優勝を果たした「クリチバ若葉太鼓」リーダーの田中健三さん(19、三世)は、「仲間や父母の協力があっての優勝でした。日本の大会に出るという夢が叶って本当に嬉しい」と話すと、喜ぶチームメイトの輪に戻った。
 「小さい子たちに教えているうちに、自分の太鼓も磨かれたのでは」と振返るのは大太鼓個人の部で優勝し、一般の部優勝の「パラナバイ寿太鼓」を率いた伊川フランクリンさん(18、三世)。「冬休みの7月に入ると毎日練習した。今日は祖父の四十九日。優勝を伝えたかったです。もちろんこれからも太鼓は続けます」と喜びを語った。
 審査委員長を務めた箕輪敏泰氏は、「音を重視する大会で、バチの振り方や踊りなど見せるほうに力を入れ過ぎたチームもあった。笛もまだまだ大会レベルでなく、太鼓の良さを消していた」と課題を述べながらも、「去年に比べ全体のレベルが上がり、どこが優勝してもおかしくなかった。これからどんどん伸びるから楽しみです」と講評した。
     ◎
 大会結果は次の通り
【ジュニア】優勝=若葉太鼓(クリチーバ)、準優勝=天竜太鼓(サンミゲル)、3位=一心太鼓(ロンドリーナ)【リブレ】優勝=寿太鼓(パラナバイ)、準優勝=源流太鼓(カッポンボニート)、3位=龍舞太鼓(イビウナ)【大太鼓個人】優勝=伊川フランクリン(パラナバイ)、準優勝=ラファエル・シンジ・オノ(アチバイア)、3位=オリベイラ・トビシマ(プレシデンテ・プルデンテ)【マスター】リオ日系太鼓(リオ州)

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