ニッケイ新聞 2011年9月21日付け
米国ニューヨークで21日から開催される第66回国連総会で開幕演説を務めるために同国を訪問しているジウマ大統領は、米国のヒラリー・クリントン国務長官の隣に座って「憧れの的」などと賞賛されたのみならず、10万ドルの大枚を払ってでも晩餐に同席したい米国の企業家がたくさん押し寄せるなど、国連総会で開幕演説する初めての女性として大人気が集まっていると20日付け伯字紙各紙が報じている。
ニュースウィーク誌はジウマ大統領を表紙に据えて歓迎の意を示し、国連の女性セミナーでは、議長であるチリ共和国のミシェル・バチェレ前大統領、クリントン国務長官と並んで講演者席に座る大物待遇をされ、女性の政治参加や男女平等について熱く論じた。
「女性はもっと平和な世界建設を望んでいる」とジウマ大統領は演説し、極端な貧困層で最も苦しむのは女性だと訴えた。クリントン国務長官は「ブラジル女性は賞賛の的」だと持ち上げ、惜しみない拍手を送った。
また、ジウマ大統領は国連総会で開幕演説を行う初めての女性になったこと強調し、南米で初めて女性大統領となったバチェレ氏とこの名誉を共有したいと話した。
一方、BRICsの雄であるブラジル大統領が訪米している機会をとらえて、20日、伯米両国での事業拡大を狙う企業が晩餐会で顔見知りになり、今後のビジネス展開に活かそうとしのぎを削っている。
ワシントンのウィルソン研究センターが主催するこのイベントのために、エネルギー、機械、建設、航空などの分野を中心とする企業はスポンサー料として、合計100万ドル以上を支払ったと見られる。メインスポンサーはCOTEMINAS社、AMYRIS社だが、金額は非公開となっている。
この晩餐会の参加費としては1人あたり最低1500ドルがかかるが、約400人が集まる予定。この時に、ジウマ大統領と同じテーブルで食事をするには、最低でも10万ドルが必要だ。
しかし既に米国に拠点を置くインフラ大手のAESコーポレーションやブラジル鉄鋼メーカーのゲルダウ、飲料産業のコカ・コーラ、アルミ産業のAlcoa、医薬品企業のメルク、バイオ燃料のライゼンなどが競うように支払っていると報じられている。
また健康関連の国連サミットでジウマ大統領は、現政権では女性の健康が優先事項であることを話し、乳癌や子宮頸癌といった問題を減らすために力を注いでおり、自身の政権で最初に取られた措置が糖尿病と高血圧への薬の無料化だったことなどを話した。