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世界一美味な肉 WAGYU=市場拡大の可能性探る=レストラン「ランゲツ」が企画=講演、試食会に120人

ニッケイ新聞 2011年9月21日付け

 世界一との呼び声も高いが、ブラジルでは1キロ200レアルとまだ敷居が高い和牛。その普及を目指し、ブラジル和牛生産協会の飯崎貞雄会長による講演会が6日、SENACアクリマソンであり、レストラン経営者やシェフ、学生、主婦など120人が耳を傾けた。「銀座らん月」東京本店のシェフ、佐藤聡さんによる和牛料理実演も関心を呼んだ。サンパウロ市のレストラン「ランゲツ・オブ・トーキョー」、ブラジル日伯文化福祉協会の共催。

 00年5月にピニェイロスに開店した同レストランでは、和牛を使ったしゃぶしゃぶとすき焼きが主要メニュー。
 「初めは日本人駐在員が中心だった客層も多様化し、今では日、非日系が半々程度」としながらも、「和牛の知名度はまだ低い」と同店の藤縄肇さんが企画した。
 「和牛」とは黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の食肉用4品種を指し、海外では「神戸ビーフ」が和牛の代名詞として使われる。
 当地では15年前、ヤクルト社により飼育が始まり、現在は36の生産者が1500頭の和牛を飼育。
 安定供給が可能となりつつあるものの、出荷数はヤクルト社で月3〜5頭、同協会全体で30頭ほどに留まっている。
 飯崎会長は、「ブラジルの牛肉の輸出は世界一だが、一流レストランが使用する柔らかい牛肉を米、亜国から年間3万トン輸入している」と指摘、「値段設定などの問題はあるが、普及の可能性はある」と力説。
 そのうえで、等級規格を作るなどのシステム作りが必要との考えを示し、「システム作りと消費者間の認知度を上げることが協会の役割」と話した。
 ブラジルと日本の和牛の違いに関して、「日本は霜降り度をA〜C各5段階で表すが、ブラジル和牛は現在B程度で、まだ風味やうまみは劣る」としながらも、「日本のテクノロジーで等級Aを目指したい」と締めくくった。
 講演後は、佐藤シェフ、和食シェフの小池信也、アドリアノ・カナシロ両氏による料理の実演が行なわれた。
 使用されたのはブラジル和牛。肉じゃがコロッケ、ミルフィーユ、角煮の3品を賞味しながら、参加者たちは当地の和牛と通常の肉の違いを確かめていた。
 ヒカルド・シルバさん(32、サンパウロ市)は、「初めて食べたけど、とても柔らかくておいしい」と満足げに話した。
 美味しいという意見が多数ながらも、和牛を知る参加者からは、「日本の方が美味しい」「買うかどうかは値段次第」という声も聞かれた。

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