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将来の日本社会のために=三重のNPO法人・愛伝舎=坂本久海子代表に聞く=「子供への支援が不可欠」=奨学制度の設立も視野に

ニッケイ新聞 2011年12月1日付け

 「問題は教育だけではない。外国人を受け入れる仕組みを整えることが先決と思った」——。2005年8月に設立され、三重県鈴鹿市で様々な活動を行なうNPO法人『愛伝舎』の坂本久海子代表(50、静岡)は、団体設立のきっかけをそう話す。11月6日に行われたCIATE主催「コラボラドーレス会議」への参加のため来伯した坂本代表に、愛伝舎の取り組みや鈴鹿市の日系ブラジル人の現状、活動にかける思いを聞いた。

 93〜98年、夫の仕事の都合で聖州に住んだ。帰国後の02年から、鈴鹿市内の小学校講師として外国籍の子供に日本語を教えていた。
 そこである子供の父親が解雇され、自殺未遂を起こした。「ある会社の社員にしてもらい住居を確保し、食べ物を持ち寄るなどの支援をした」ことで冒頭のような思いに至った。
 04年に県の生活文化国際室が開いた「外国人コミュニティをサポートするコミュニティビジネス企業」セミナーに参加。翌年、数人の仲間と愛伝舎を設立した。
 鈴鹿市の人口約20万人のうち、外国人は4%を占める。日系人人口はピーク時に7500人に達し、現在は5200人。そのうちブラジル人は3800人ほど。県内にブラジル人学校は4校ある。
 愛伝舎のスタッフは9人。県、鈴鹿市、四日市市などから助成金を得て、就労者向け日本語教室や、暮らし方のルール、交通安全、食育、教育など日常生活に関する各種セミナーを実施するほか『三重県多文化共生を考える議員の会』の事務局も務める。
 今後は現在の活動に加え「経済的な問題で大学に進学できない子供達のために奨学金を—」と語る。
 「愛伝舎の事業は日本社会のためと考えている。将来的にこの国の構成員となる子供らの支援は不可欠。自分はどうせ工場で働くだけ、と考えている子供達が多い。将来の夢が見えていない…。2つの言葉や文化を知っているのは素晴らしいと認識してほしいし、21世紀の日伯の架け橋になるのは彼らなんです」と力を込めた。

介護ヘルパー養成事業に力=講座は倍率4倍の人気ぶり

 「日系人の明るさや優しさは介護の仕事に向いているし、子育て中の母親に合う働き方」——。09年からJICAの委託事業として、介護人材育成事業(2級ホームヘルパー養成講座)を実施している。
 「不況になる前からやりたいと思っていた。女性にとって、工場で働くより給与は下がるが家事をしながら仕事ができるし、子供とのコミュニケーションも維持できる」と利点を語る。
 1回目は20人が受講、修了した18人のうち11人が介護施設に就職を決めるという成果を上げた。
 2回目からは県との協働事業として実施し、現在は5回目を開講中。定員12人に40人以上の応募があったという人気ぶりだ。これまで78人が修了し、少なくとも27人が実際に現場で働いている。「就職先の施設からも評判が良いです」と坂本さん。
 4カ月間の講座には授業、実習、就職活動が含まれ、同時に「介護のための日本語クラス」も開かれている。ケアマネージャーの有資格者がコーディネートし、スタッフが通訳、県内から講師を呼んで行われている。
 試験の面接対策や日本の食事の調理実習なども行い、今では各地で関心を集め、茨城、滋賀からも見学者が訪れているという。
 「ヘルパーとして3年実務経験を積めば、介護福祉士の受験資格も得られる。今後は彼らが指導者となって活躍してくれれば」と期待を込める。

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