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世界の邦字紙から=亜国=マルビーナス戦争30周年=英亜緊張とエネルギー危機

ニッケイ新聞 2012年2月25日付け

 【らぷらた報知2月16日付け】マルビーナス戦争30周年を前にして、英国の予定する同諸島での軍事演習、それに伴うウィリアム皇太子の派遣及び超近代的駆逐艦と潜水艦の到着等々、英国は〃慣例的行事〃に過ぎないと言う。だが、アルゼンチンは「英国による挑発的示威行為」であるとして、亜国が主張する交渉の席に英国を就かせようと様々な圧力の戦術に訴えている。ところが、今のところ亜国側の主張する平和的解決など望むべくもなく、むしろ遠ざかる一方である。
 〃プロセス〃軍事独裁政権3代目大統領ガルティエリ将軍のマルビーナス奇襲作戦は〃藪(ヤブ)を突いて蛇を出す〃結果に終わった。マルビーナス戦争後における英国側の動きはマルビーナス返還の意志のないことを示している。アルゼンチンが解決を急ぐのであれば軍事力に訴えるしか外ないが、敗北は明らかとあって〃外交的解決〃によるしかない。
 それで、英国のアナクロニスティックな植民地主義や同諸島に対するアルゼンチンの歴史的地理的権利を掲げて英国を非難するが、英国側の馬耳東風に終わっている。
 そこで考え出したのがマルビーナス諸島住民の経済的圧力による孤立化である。マルビーナスの旗を掲げた漁船のメルコスール諸国やキューバ、ドミニカ、バルバードス、ニカラグアなどの国々への入港禁止措置がある。マルビーナス住民の収入源は漁業であって、それらラ米諸国へ魚を売ることによって支えられて来た(年収7千万ポンドと言われる)所から、入港禁止は住民の懐(フトコロ)に響くとあって痛手である。
 もっとも島民(ケルパー)はマルビーナス戦争以後、英国市民権を認められているとあって〃英国人〃であるから、マルビーナス旗の代わりに英国旗を掲げれば入港できるとあって、それ程、心配していない。
 クリスティーナ大統領が真に〃話し合う〃ことでの平和的解決を望むなら、マルビーナス島民を敵に廻すことは得策ではない。マルビーナス島民を孤立に陥れ困らせることは、島民をアルゼンチンから遠ざけることになり、英国の〃民族自決論〃を正当化することになり兼ねないからだ。それでなくとも島民はアルゼンチンを嫌っているのである。
 にも拘らず英亜両国共、平和的解決を不可能にするようなことをやっているのはどういう訳だろうか?
 両国の国内事情がそうさせていると、前に述べたが、その中でも特に強い原因として挙げられるのが〃石油問題〃である。最初、アルゼンチンと〃話し合い〃の席に就く態度を取っていた英国が拒否する姿勢に転じたのは、マルビーナス近海における海底油田の存在が発見されてからである。そのことを思うと石油資源が絡んでいると見られる。さらに、特にアルゼンチンを怒らせたのは、英国側が一言の断りもなしに独断で一方的に海底油田開削を始めたことによる。
 今年1月、喉頭癌の疑いで手術を受け休養していたクリスティーナ大統領が政務を再開した時、挙げた第一声がアルゼンチンが直面している〃エネルギー危機〃であった。
 クリスティーナはその演説の中で、「アルゼンチンにガスやオイルの燃料資源があるにも拘らず、国外からの輸入に頼らねばならなくなったことに触れたが、その為に費やした輸入金額が2011年は90億ドル、2010年のそれの107%増であり、今年は更に増えるであろう。アルゼンチンが他の物資の輸入禁止に訴えざるを得なくなったのはドルをエネルギー輸入に廻せねばならなくなったからだ。これ以上、エネルギーを国外に依存することは不可能である」と述べ、その原因を民間石油会社REPSOLとYPFの責任(減産)に帰し、YPFを国営に移すとまで、言ってのけたのである。
 その調子は今迄にない激烈なものでヒステリックと言ってもよいものだった。それから推してもアルゼンチンの〃エネルギー危機〃レベルが奈辺にあるかを示すものであった。減産は投資や増資の欠如から来ているものであるが、それが政府の政策から来ているものであることに就いては、例によって一言も触れなかった。
 展望子の見る所ではクリスティーナのREPSOLとYPFに対する〃八つ当たり〃のようだ。アルゼンチンが自国領土と主張するマルビーナス近海の海底油田の、英国による開削を独占的に行うことに対し、手も足も出ないアルゼンチンの無力に対するウップンを投げつけたという印象を受ける。
 「YPFを国営化する」と脅しているが〃アルゼンチン航空〃が国営化されてから数年経っているのに、赤字続きであることを見ると国営化が解決になるとは思えない。
 クリスティーナが今迄になく英国に対し強く出ているのは「エネルギー危機」と言う背景が大きく物を言っているように見える。(高)

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