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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年5月22日付け

 英国のエリザベス女王が即位60年を迎えられ祝賀の宴が開かれた。両陛下もご出席になり、慶びのご挨拶を申し上げ、トンガなどの王国からも多くの方々がロンドンに集まり祝意を表したのはなんとも喜ばしい。女王も決して若くはないが、英国の王室は長寿であり、ビクトリア女王の誇る在位63年の記録を破る公算も強い▼英王室と日本の皇室との関係は深く強い。今上陛下が皇太子の頃にエリザベス2世の戴冠式に出席し流暢な英語で語り合ったけれども、昭和天皇も皇太子時代に海軍の軍艦2隻でイギリスを訪問し、ジョージ5世国王とお会いしている。このときに英国王は、王室と政治について皇太子に詳しく語り説明されている。ロンドンの歓迎式典では、皇太子が感謝の挨拶もし、その答礼としてウインザー公が日本を訪問している▼ウインザー公は、ジョージ5世崩御を受けて国王になったが、離婚歴のある米国人のシンプソン夫人との恋が原因となり退位し弟のジョージ6世が即位した。エリザベス女王は、この6世の長女であり、戦時中もロンドンを離れず、軍務にもつくなどドイツの攻撃に耐えぬき活躍したのエピゾードは広く人口に膾炙している▼女王になってからも、好きな乗馬は続けられるが、チャールズ皇太子の行き過ぎには悩まされ、ダイアナ妃の事故死のときには「アヌス・ホリビリ(ラテン語。恐ろしい年)」と悲嘆に暮れたりもした。しかし、女王の献身的な言動が国民に受け入れられ、今や支持は80%を超えているし、英王室は安泰となり、国民の敬慕が深くなっているのは真に嬉しい。(遯)

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