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Yokiを米国大手が買収=後継者問題が売却に影響か=マツナガCEO「今後の成長を期待」

ニッケイ新聞 2012年6月2日付け

 米国の食品大手「ゼネラル・ミルズ社」(General Mills、以下ゼネラル社)が先月24日、ブラジルの食品メーカー「Yoki(与喜)」を、同社の2億レアルの負債を含め19億5千万レアルで買収したと発表した。先月25日付けエスタード紙が報じた。Yoki社のミツオ・マツナガCEO(最高経営責任者)は「ゼネラル社がもつ世界的な販売力と、わが社の優秀な社員、Yokiというブランドの商品・事業が一体となれば、今後数年間で急成長できると期待している」とコメントしている。

 国内市場で成長を続け、国外の大手メーカーともしのぎを削ったほどのYoki社は、北野ヨシゾウ氏が1960年に創設した「キタノ食品」が始まり。穀類や香辛料を販売したが、香辛料部門を89年に「レフィナソンエス・デ・ミーリョ・ブラジル」社に売却した。
 6カ月後、経営を維持した製粉食品部門は「Yoki」と命名して再出発。その名前は「YOSHIZOU KITANO」の頭文字を取ったもの。「投資の声もかかる中、長年家族経営で営まれてきた同社は、今後も独自の発展を維持する方針を示している」と2010年9月に伯字紙が報じている。
 昨年度は11億レの売上を計上。国内6州に9工場を有し、調味料や香辛料、菓子、即席スープの素、ブイヨンなど620品目以上の商品を、6州9カ所の工場で製造・販売している。特に即席ポップコーンといえば、Yokiの商標が思い浮かぶほど有名だ。
 約5千人の従業員を抱えるが、管理職のほとんどは北野氏の親族が担い、代表的な家族経営の形態を取っていた。
 同社は昨年から、後継者不在のため売却を検討していた。マツナガCEO、副社長のガブリエル・シェルビーニ氏はいずれも北野氏の娘婿にあたるが、一部の業界関係者によれば、両者の間で経営方針に関する意見の不一致があったという。
 一方、これを買収したゼネラル社は米国ミネアポリスに本社を置く世界有数の大手食品メーカー。01年にブラジルの食品会社を所有していた米国の老舗製粉会社「ピルズベリー社」を買収する形で当地に進出した。
 04年に亜国へ工場を移転したが、輸送費がかさんで商品の値段が高騰。08年にその工場が火事で全焼し、4カ月以上商品が市場に並ばない事態に陥り、競合他社の製品に取って代わられた。
 同時に米国を直撃した金融危機が重なり、ブラジルでの生産の中断が決定された。以来、当地では本国からの輸入品(アイスクリーム「ハーゲンダッツ」など)のみとなっていた。
 ゼネラル社は世界で年間160億米ドルの売上を誇るものの、本国での業績は順調とはいえず、社員850人のリストラを発表。ブラジルでの事業戦略が同社の今後を決めるものとみている。

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