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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年6月2日付け

 「天地有情四海兄弟」とは、イビウーナ文協の会議室に飾られた達筆な額だ。署名を見ると中曽根康弘とあった。ブラジルはもちろん、日本でもそんなにあちこちにはない。かの大勲位の寄贈品からは、物理的な日伯間の距離とは異なる、精神的な近さが伺われた。
 関係者はこの書を「人類皆兄弟」の意味だというが、これが寄贈された98年のすぐ後に、まさに「兄弟」たる姉妹都市・串間市との交友が途絶えてしまったというのは実に皮肉だ。
 さらに「天地有情」の意味を調べてみると、人間とその感情は独立の存在ではなく、大自然の一部にすぎないという味わい深い言葉だ。
 12年の空白を経て、今回の来伯団を機に交流事業が再開されそうな気運になっているのは意義深い。書にある通り、大自然の摂理に従う形で、四海を越えて〃姉妹〃交流を本物にしてほしい。(酒)

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