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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年8月10日付け

 ヴァルパ植民地の歴史は、他国移民ながら実に好奇心をそそられる。日本移民もプロミッソンのゴンザガ区に元隠れキリシタンの集落を作り、パラナ州にも信愛植民地ができた。オランブラも宗教団体が中心になった殖民事業だが、やはりカトリックだ。ヴァルパは新教である点が特徴だろう▼ラトビアは13世紀からリヴォニア帯剣騎士団とドイツ騎士団による、徹底的なローマカトリック化が進められてきた。その後、ドイツの新教ルター派、ロシア正教も入ってきたが、英国を起源とする新教バチスタは少数派のようだ。その独自性ゆえの迫害だったのかもしれないが、真実は闇の中だ▼日露戦争での日本の勝利をトルコ民衆が喜び、「東郷」ビールを売出したり、通り名に付けたりという話は有名だが、バルト三国においても大きな希望を与えた。第一次大戦後、ラトビアと同時期に独立した隣国リトアニアの独立宣言(1918年)の署名者の一人ステポーナス・カイリース(1879〜1964)は、日露戦争後、日本に強い関心をもち訪日経験もないのに『日本論』を著した▼日本は21年にリトアニア首都カウナスに領事館を開設し、そこに勤務した杉原千畝副領事が第2次大戦時にナチスドイツに追われたユダヤ系避難民に日本通過ビザを発給して多くの生命を救ったのは有名だ▼バルト三国の苦難の歴史を見ていたら「もし日露戦争に敗れていたら」日本がそうなっていたかも、と寒気が起きるような想像が湧いた。もしくは現在の朝鮮半島のように分断されていた——。広島・長崎の原爆記念日にあたり、連載を書きながら平和と移民の関係を考えさせられた。(深)

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