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依然大きいブラジルの社会格差=ラ米4位に降格するも=ファヴェーラ住民28%=上位10市に国内5市?

ニッケイ新聞 2012年8月23日付け

 国際連合人間居住計画(国連ハビタット)が21日、カリブ諸国も含むラ米では人口の8割が市街化地域に住んでおり、ブラジルはラ米で4番目に社会格差の大きな国との発表と22日付伯字紙が報じた。

 ブラジルの社会格差の大きさは国際的に知られ、所得分配の平等さを0から1で表す(1が最善)ジニ係数は2009年の時点で0・576。1990年の0・627より改善し、ラ米一格差のある国の汚名は返上したが、それでもラ米4位で、隣国の後塵を拝している。
 国連ハビタットによると、ラ米諸国の貧困者は1990年の48%が2009年には33%に減り、貧困者中の先住民の割合も23%から13%に縮小するなど、格差が改善したが、それでもなお、世界で最も社会格差の大きな地域との汚名は返上できていない。
 世界銀行によれば貧困は1日2ドル以下で生活する事で、1日1ドル以下の場合は極貧という。貧困者が最も少ないのはアルゼンチンやチリ、ウルグアイの12%だが、ボリビアやグアテマラ、パラグアイでは貧困者が50%を超える。この辺が、人口は全世界の8・5%を占めるのに、国内総生産(GDP)は7%に過ぎない所以だ。
 新興国の雄ともてはやされ所得向上がいわれるブラジルの場合、貧困者は22%でジニ係数も改善したが、それでも、0・585のグアテマラ、0・580のホンジュラス、0・578のコロンビアに次ぐ格差国だ。
 ラ米全体の貧困者は1億2400万人で、内1億1100万人はファヴェーラのような劣悪な住環境にいる。ラ米全体で劣悪な住環境にいる人は25%だが、ブラジルは28%。住宅供給数の確保が問題解決の鍵だ。
 1950〜90年の市街化ブームで農村から町への人口移動が進み、2010年の市街化地域住民は79・4%。84・4%の欧州や82・1%の北米には及ばないが、農村から町だった移動形態は人口過密都市から中小都市という形に変化。少子化などで500万人以上の大都市形成速度は鈍り、居住者は14%。人口の半分は50万人以下の町に住んでいる。
 一方、都市別の格差最大はジニ係数0・65のゴイアニア。フォルタレーザ、ベロ・オリゾンテにコロンビアのボゴタが0・61、ブラジリア0・60、クリチバ0・59など、上位10市中5市をブラジルが占める。リオは0・53で13位、サンパウロ市は0・50で19位だった。
 セアラ連邦大学の試算ではフォルタレーザでの格差是正には年1億6千万レアルの投資が必要とされているが、上下水道の完備やごみ処理施設建設、公共交通機関の拡充などのインフラ整備と共に、ベビーブームなどで人口の大半を労働年齢の人が占める現状を上手に活用する事も、社会格差是正の鍵の一つだ。