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ブラジリア=「首都の人材育成に貢献」=日語モデル校20周年=教師による独自運営で

ニッケイ新聞 2012年10月3日付け

 ブラジリア日本語モデル校(三分一貴美子校長)が今年20周年を迎え、6月30日に記念式典を盛大に行った。首都の日本語教師が集まって1989年に組織したブラジリア日本語普及協会(同理事長)が直営する、文協経営でない全伯唯一のモデル校だ。100人前後いる学習者の多くが成人で、7割が非日系という独特な学校だ。関係者に節目を迎えた意気込みなどを聞いた。

 「文協運営のモデル校と違い、教師自らが授業編成だけでなく、イベントの企画を練り、生徒集めから、運営面まで全てに責任を持つのが当校の特徴です」と三分一校長(72、東京)は強調する。現在教師は15人、うち一世は7人だ。同モデル校と一体となった普及協会全体では教師は43人、会員校は同校入れて6校ある。
 矢田正江教務主任(普及協会副理事長、67、長崎)も、「非日系学習者、学生、社会人が多く、日本への留学希望者が半分を占める。実際毎年2〜3人ずつ国費留学生もでている。彼らが帰ってきて首都で外交官になったり、各省庁に就職したりしている。中央官僚の育成に貢献している」という。
 同校のもとになったのは1983年に創立した「みどり学園」で、最盛期には日系児童300人を記録したことがある。日本語教師により89年に同普及協会が組織され、92年にモデル校が学生寮敷地内にされた頃にも270人程度が在校した。
 94年から同校で教えている井上富美子さん(69、熊本)によれば、「最初は児童が多かったが、少子化時代を迎えて生徒が減った。70人という厳しい時代もあった」と振返る。97年ごろに教育方針と教材を変えてから現在のように持ち直してきた。百周年時には学習者のピークを迎え、175人もいた。
 普及協会は年2回の3日間のスキルアップ研修会、年3回の一日研修会、毎月1回の勉強会、年2回の会報発刊をこなしている。イベントとしては5月の日本文化祭、9月の汎ブラジリア・スピーチ・コンテスト、11月のふれあいバザー、日本語能力試験会場としても使われている。
 矢田教務主任は「大人の学習者が多いのでニーズが高い。我々もどんどん勉強しないといけない。中西部の日本語教育拠点としての、当地区の特徴を活かした役割を果たしていきたい」と抱負をのべた。

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