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在日ブラジル人犯罪=ピーク時から8割も激減=危機後の人口減以上に低下=改善みえる少年犯罪事情

ニッケイ新聞 2012年10月11日付け

 警察庁サイトで公開されている『来日外国人犯罪の検挙状況 平成23年度確定値』によると、在日ブラジル人による犯罪の検挙件数が2008(平成20)年以降3期連続で大幅な減少を見せ、過去10年におけるピーク時から約8割減になったことがわかった。国籍別で見ても、長らく中国に次ぐ2位に甘んじていた検挙数が、初めてフィリピンに抜かれ3位に下がった。検挙人員数はさらに韓国を下回り4位だ。例年検挙数のトップを独走してきた少年犯罪についても全体で3番目に落ち着くなど、ブラジルの日系社会にとっても朗報と言えそうだ。

 同統計によれば、昨年1年間の在日ブラジル人による犯罪の検挙件数(刑法犯罪と特別法犯罪を合わせた数)は1572件(全体の構成比9・1%)。過去10年で最多検挙件数を記録した07年(7696件、同約22%)から毎年1千件単位で減っており、4年間で約8割の減少、構成比も半減した。検挙人員も593人(同5・9%)で、07年(1256人、同8・3%)から大幅に減った。
 なお、外国人犯罪全体の総検挙数は05年の4万7865件をピークに減少傾向にあり、07年からの4年間では概ね半減している。
 総検挙数のうち、割合の高さが指摘され続けてきた少年犯罪については、ここ10年余りで初めて検挙数トップの座から降りられた。近年は200〜400件の幅で増減を繰り返しながら、常に構成比の3〜4割という突出した数字を残していたが、11年は98件(前年比マイナス225件、総数の約15%)と急激に減少。これにより中国の180件、フィリピンの134件に次いで3位に順位を下げた。
 ここまで挙げてきた現象は、今年度上半期にも引き継がれており、全体の検挙人員こそ昨年同時期と同数の213人だが、検挙件数はマイナス65%の342件と大幅な改善が見られた。少年犯罪も同様に検挙数が約30%減少している。
 これらの数字は、08年末から始まった世界金融危機、11年の東日本大震災の影響で約10万人が帰伯したのを踏まえても、それ以上の犯罪減少率を記しており、特筆すべき数字だ。
 ただし、これまでも在日ブラジル人犯罪の〃独壇場〃とされてきた車上狙いと自動車盗、さらに薬物事案の検挙数ついては、数・構成比ともに微減傾向にはあるものの依然トップを維持しているのはマイナス材料だ。
 検挙された事件の数を犯行人数で割った「1件あたりの犯行人数」は、07年が6・1人に上るのに対し、11年は2・7人と大幅に減少している。これまで在日ブラジル人の犯行において一般的だった「徒党を組んで大勢で」という形態に加え、単独での犯行が増加していることがその一因と言えそうだ。

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