ホーム | 日系社会ニュース | 来年20周年の大志万学院=お話大会に延べ46人参加=非常に稀な4カ国語の発表

来年20周年の大志万学院=お話大会に延べ46人参加=非常に稀な4カ国語の発表

ニッケイ新聞 2012年10月11日付け

 来年創立20周年を迎える大志万学院(川村真由実校長)は6日午前、サンパウロ市の同校講堂で第7回4カ国語お話大会を開催した。延べ46人が出場、マリア・パウラ・アントナシオさん(ポ語)、レナン・ヤマダ・シブヤさん(スペイン語)、山室友梨恵ステッフィさん(日語)の3人が異例の同点総合優勝を飾った。小中学校過程で4カ国語を義務教程に取り入れ、しかもお話大会をする学校は日伯を通じて非常に珍しい。川村校長(53、三世)は20周年に向けて準備を着々と進めているという。
 移民80周年前後から「ブラジル学校に組み込んで、正課として教えないと日本語教育は衰退する」との危機感が高まった。各地でコレジオに日本語教育を取り入れる試み、いわゆる「日伯学園」化が試行されたうちの一つだ。
 1952年に創立し、今年60周年を迎えた統ある日本語学校・松柏学園を母胎に、93年に誕生したコレジオが大志万学院だ。語学教育の充実に重点を置き、玉川大学、千葉県君津市立小櫃中学校などと絆を深め、日本文化の良い点を取り入れる独自の教育を試みている。その旗艦的事業が「お話大会」だ。
 ポ語は母語、日語、英語を第一外国語、スペイン語を第二外国語として全員が学ぶ。イタリア系のダンテ・アリギエリ校では第一外国語が英語とイタリア語、ドイツ系ポルト・セグーロ校は英語とドイツ語、スペイン系ミゲル・セルバンテス校は英語とスペイン語となっており、それを日系に当てはめた形だ。
 保育園生なら1歳半から4カ国語に触れるが、通常は小学1年(6歳)から日英、ポ語に似ているスペイン語は高学年から習い始める。日系、非日系関係なく中学卒業時には全員が英語スペイン語は中級、日語は日本の小学4、5年の読み書き能力を目指す。
 今大会で発表する内容は生徒が考え、教師はアドバイスのみ。全生徒が選抜に参加し、勝ち残った生徒が大会で発表する。同校長は「いろいろな文化の長所を吸収してより良いものを作ろうと考えている。自分の言いたいことをブラジル社会の中でしっかり主張していける子にするために、大勢の前で話をする練習は不可欠」という。
 日本語部門では21人が発表し、林・宮城フェルナンドさんは「二つの故郷」という題で、台湾の親戚を訪ねた経験とブラジルを比較し、半沢啓造ルカスさんは軍警が不法占拠者を強制退去させたピニェイリーニョ事件に関する社会派の意見を堂々と述べた。
 日語部門の各カテゴリー優勝者は、久高・高鹿(ひさたか・こうろく)ルミさん、大沼タルシラ、飯田将太朗、山室友梨恵(ゆりえ)ステッフィさん、塩沢桂アンドリューさん。総合優勝した山室さん(12、二世)は飼っていた観賞魚が死んでしまった体験談を、抑揚の利いた口調で身体表現豊かに表現して命の大切さを訴え、大きな拍手を浴びた。本紙の取材に答え、「とても緊張したが、4回目の参加で優勝できた」と嬉しそうに答えた。
 川村校長は「最初の卒業生はもう27歳。これから企業の中堅や幹部として教育の成果を発揮してくれることでしょう」との期待を語った。

image_print