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アチバイア文協=創立60周年式典に4百人=地元社会と融合図り、スポーツ、文化を活動の柱に=映画監督 山崎千津薫さんも出席

ニッケイ新聞 2012年12月4日付け

 アチバイア日伯文化体育協会(ACEMBRA、会員数327家族)は2日、同会館で『創立60周年記念式典』を盛大に開催した。会員を始め在聖総領事館の福嶌教輝総領事、サンパウロ市文協の木多喜八郎会長、山下譲二副会長、リカルド・アントニオ同市副市長、アルマンド・トリコリ農村協会会長ら来賓ら約4百人が出席し、節目の年を祝った。野球の振興を目的に設立された同文協は、現在もスポーツ、文化活動に力を注ぐ。野球、ソフトボールや相撲で国際的な選手を輩出、アチバイア川筋清流太鼓も会を支える屋台骨の一つとして活躍している。青年らの余興も花を添えた。

 礼拝後、先没者に1分間の黙祷を捧げ、全員で日伯両国歌を斉唱した。
 山田俊文会長(72、二世)は、会の設立経緯や、6つのスポーツ部、8つの文化部の活動を紹介し、式典や文協運営への協力者に感謝を述べた。
 福嶌総領事は「日本人の努力で花や農産物の生産地として確固たる立場を築いた」と日本人の活躍を賞賛。次期市長のサウロ・ペドローゾ市会議長も「我々の文化、経済にとって日系社会の存在は不可欠」と日系社会の重要性を強調し、他の来賓らも祝辞を述べた。
 続いて、文協創立時に会館建設用の土地を寄付した松岡勝芳、元春、茂春兄弟の親族である利夫、美恵子さんに感謝状が贈られた。85歳以上の高齢会員52人、文協運営に携わる功労者や創立会員、歴代会長、来賓、関係団体にも表彰があった。リカルド副市長および安部順二連邦下議から、山田会長に記念プレートが手渡された。
 表彰者を代表して松岡利夫さんは「幾多の困難を乗り越えて毎日のように会館が活用されており嬉しい」と挨拶し、同市副市長の乾マリオ文協第一副会長の閉会の辞で式典の幕を閉じた。
 ケーキカット後、辻修平顧問の音頭で乾杯をすると、会員らは懐かしい再会に喜び歓談しながら食事を囲った。父親が創立会員という映画監督の山崎千津薫さん(63、三世)も姿を見せ、「文協のシネマと運動会が一番の思い出。日系社会ほど、結束の固い社会はない」と話し、舞台の余興を楽しんでいた。
 「会が元気づいている」と見る会員もいる一方で、高齢者表彰を受けた「アチバイア文協50年史」の著者・水野昌之(88、愛知)さんは「50年、60年がコロニア団体の曲がり角。年寄りが築いてきた社会をどう現状維持するか」と懸念を示す。
 しかし日語学校の青山明政校長(63、愛知)は「日語学校も毎月2千レアルの赤字だけど、皆の協力で何とかなっている。皆で助けあえば文協は続いていく」と楽観的な展望を語り、秋山勇評議員会長(64、広島)も、「日本人の血、文化を絶やさんように引き継いでいくのが文協。最近市の人口が増え、若い会員も増えている。まだまだ発展途上です」と未来に目を向けた。


新会館建設に向け第一歩=プロフロールの地権譲渡

 先月、アチバイア花卉生産者協会(プロフロール、青山明政会長)は同文協に、新会館および野球場建設用敷地として、同市に所有する約20万平米の地権の50%を譲渡した。
 野球は文協の活動の柱であるにも関わらず、公式野球場がなく他団体のものを借用していた。会館も老朽化し、自由に文化活動を進める十分なスペースや設備がなく、長年野球部で指導にあたる辻修平・文協顧問によれば「会館や野球場の建設は長年、会員の希望であり夢だった」。
 一方、プロフロールは利用しきれていない巨大敷地があったため、その有効利用にと約4年前、斉藤フランシスコ功元会長が文協に声をかけた。
 当初は半信半疑で受け入れなかった文協も承諾し、昨月譲渡が実現。山田文協会長は「まだ具体的なことは何も決まっていない。現会館をしっかり維持しながら、来年から協議していく」と述べた。
 「譲渡実現のために会長になったようなもの」と語る青山会長は、「オルトランジャ協会、文協、プロフロールには兼任する役員も多い。この3団体が一つになれば、もっといろんなことが出来る。生きている間に会館設立を実現したい」と力をこめた。

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