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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年3月12日

 伯国へ来て3年目に、その頃住んでいた家の隣人の甥が流れ弾に当たって亡くなった。生後間もない長男を突然死で失った後だった我が家では、17歳まで育てた息子を亡くした両親はどんな気持ちだろうと話し合った▼犯罪や天災、交通事故が多い伯国では、子供や親といった身近な人を予期せぬ形で失う人も数多い。南大河州サンタマリアでのナイトクラブ火災では241人が死亡し、聖市では土曜日の豪雨の中、隣人3人を助けた男性が、別の少女を助けようとして少女と共に流されて死亡した。その他にも、集中治療室の医師が患者の命を奪った事件とかエリーザ・サムジオさんと中島メルシアさんの殺害事件の裁判が2週連続で始まるなど、人命に絡む報道が連日続いている▼日本では昨日、東日本大震災から2周年を迎えたが、ここ数日、NHKの番組を見たりしながら身近な人を失った遺族や友人の言葉にもらい泣きする場面が何度あった事か▼地震や津波などの天災はいつ起きるか予想できず、福島第一原発の事故原因は完全解明されていない。そういう意味で同様の悲劇はいつ起きるとも限らず、身近な人を失って涙する人達がまた生まれるのかとも考えてしまうが、遺族や友人が「あなた達の分まで生きます」というメッセージを繰り返していたのも印象的だ▼もっと生きたいと思っても生きられなかった人がおり、身近な人を助けたいと思ってもなす術もなくその死を悔やむ人もいる。家族そろって何事もなく毎日が過ぎるのは当たり前の事ではないと改めて思うと共に、悲しみの中にある人にどれだけ寄り添っているかと考えさせられるこの頃だ。(み)

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