コラム　オーリャ！

ニッケイ新聞　２０１３年３月２１日

　数カ月前にユタの取材を始めた。死者の霊を口寄せする沖縄県の霊媒師のことで、当地にもいると聞いて興味を持った。
　彼女たちの集まりに幾度か参加し、成仏のプロセスや先祖供養の意義について話を聞いた。その影響で実家の供養のあり方について考えるようになってきた矢先、私生活で奇妙なことが起きた。
　ある友人に悩み相談をしていると、唐突に「あなた、小さい頃川で死んだ兄弟がいない？」と尋ねられた。「祖父の兄弟にならいるけど」と驚いて答えると、その赤ん坊の顔が浮かぶ、彼が苦しみ助けを求めているのが悩みの原因だろうと言う。
　正直「気のせい」では済まないタイミング。自分がこの手の話の当事者になろうとは思わなかったが、霊感の強い人は周囲に不思議な現象を起こすとか。「これも記事の肥やし」と心して、じっくりユタの世界を覗いてみたい。（阿）