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受け継がれる琉球の響き=『第7回民謡の祭典』=米須会長「若者の活躍著しい」=初の試み、寸劇も披露

ニッケイ新聞 2013年10月16日

 琉球民謡保存会ブラジル支部(米須正支部長)主催の『第7回民謡の祭典』が13日、沖縄県人会館で開かれ、訪れた約350人がウチナーグチの響きに耳を傾けた。6歳から80歳を超える高齢者まで、約120人が日頃の研鑽の成果を披露。米須支部長は「近年は若者が自分から歌詞の意味を理解しようと勉強会を開くなど、非常に積極的。レベルもどんどん上がっている」と満足げに話した。

 開会式で挨拶に立った米須支部長は「支部開設から来年で20周年。今年の5月に沖縄を訪問したが、母県の本部でも大きく評価されていることを改めて実感できた」と力強く話し、座嘉比昇・祭典実行委員長は、ウチナーグチで関係者への謝意を示した。
 新たに教師として認定された当間チエミさんへの免許状の授与も合わせて行われた。
 祭典は約20人の教師・師範による「かぎやで風節」「鶴亀節」「豊節」の斉唱からスタート。迫力ある三線の音色と勇壮な歌声に観客から大きな拍手が沸いた。
 ジャバクアラやバウルー、カンピーナス、ヴィラ・カロンといった各地の民謡グループのほか、島袋順子琉舞道場や具志堅洋子琉舞道場などから琉球舞踊のグループも参加。色とりどりの衣装での華麗な舞で会場を盛り上げた。
 最終プログラムでは、初の試みとして寸劇「毛遊び」が披露された。玉城流扇寿会と琉球民謡保存会青年グループのメンバー約15人が、仕事を終え、野外で飲み、歌い、踊ることを楽しみとしていた戦前から戦後期の沖縄の若者らを再現し、会場は大きな拍手に包まれた。
 終演後は、米須支部長の音頭によるカチャーシーで会場が一体になって踊り、和やかな雰囲気の中祭典の幕が降りた。
 若者の舞台を見ながら体を揺らし、歌を口ずさんでいたアシミネ・ノブさん(82)は「自分たち一世の文化が孫、ひ孫まで受け継がれている。良い時代になったね」と感慨深げに話し、最前列の席で耳を傾けていたイズ・セイジさん(82、二世)も「ウチナーグチを聞くと両親のことを思い出して、懐かしい」と話していた。

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