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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年1月8日

 劇団『現代座』の木村快代表=東京在住=は6回も来伯し、計1年間にわたって聞き取りを重ね、昨年『共生の大地アリアンサ』(同時代社)を刊行した。20年越しの労作であり、邦字紙記者として頭が下がる▼この本には次から次へと「生きているうちに、もっと話を聞いておけばよかった」と思う人のコメントが出てくる。日々の紙面を作る忙しさにかまけているうちに貴重な歴史の証人の訃報が掲載される。そのたび、そう反省する。本来は邦字紙こそがもっと歴史発掘に力を入れるべきなのにと胸が傷む▼昨年10月、東京都練馬区にある日本力行会館を初めて訪ね、アリアンサ歴史講座を取材した後、快さんらと酒席を共にさせてもらい、有意義な示唆を山ほど頂いた。永田稠や輪湖俊午郎の書いたものには国粋的な熱い想いがかなり込められているが、日本の右翼とは「どこか論調が違う」と常々思ってきた疑問をぶつけた▼すると快さんは「祖国を愛する心は同じでも、国内ではそれが単なる権力追求になるが、外から祖国を見るともっと国際協調的な視点になる。それが戦前の内務省と外務省の違いにも関係する」と一刀両断し、目からウロコが落ちた▼思えば日本力行会館自体が、我々の大先輩である日伯新聞社主の三浦鑿が、戦前に大統領令で伯国から強制退去させられ、東京で身を寄せた場所だ。戦時中に三浦は特高に拷問を受けて栄養失調になり死の直前に解放され、そこで息を引き取った。永田会長らが集めた貴重な史料もあり、旧神戸移民収容所と同じく日本の〃ブラジル移民関連の旧跡〃といえる。同書を読んで同会館を訪ねるだけでも立派な歴史探訪だ。(深)

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