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中野さん苦難の戦中戦後記す=涙なしに読めない自分史

ニッケイ新聞 2014年1月31日
「我が人生に悔いなし」と語る中野文雄翁

「我が人生に悔いなし」と語る中野文雄翁

「息子たちに家族の歴史を残したかった。気力を振り絞って書いた」。聖市在住の中野文雄さん(92、福岡)は1935年に13歳で移住してから、1965年までの自分史『子供移民の半世紀』を上梓し、25日に友人や親戚約100人を呼んで盛大に刊行記念会を行った。日ポ両語版で100冊を作って配った。

戦中バーラ・ボニータでは3度も理不尽な軍警察の家宅捜索を受けた。母親は銃の台尻で突き倒されて腰を痛め、金品や家財道具を根こそぎ持って行かれた。《一回の百姓いじめがブラジルの誉れになるのか。兵隊なんかじゃない。ただの泥棒どもだ。生活に使っているようなものまで根こそぎもってきやがった。それで充分じゃないか。倒れている老婆を見てなんとも思わないのか。本当に同じ人間なのか。そんな思いが涙となって溢れてくる気持ちが一向に治まらない(中略)兄貴も弟たちも無念涙を呑んでいる。きっとみんなも悔しさをむき出しに飛び掛かって殴りたい思いでいるのだろうが、相手は10人で銃を持った野蛮人。ここで殺されたら犬死だ》(42頁)

バーラ・ボニータでの《中野家存亡の危機》(45頁)に当り、手塩にかけて育てた収穫直前の棉畑を捨てて夜汽車で決死の逃避行を図った様子など、手に汗握る場面が続く。そんな第8節に関し、中野さんは「書くどころか思い出すだけで辛いぐらいだった」という。まさに気力を振り絞って子孫に歴史を残そうとした。

「多少の勘違いもあるかもしれないが、自分が見てきたそのままを書いたつもり」。刊行記念会は奇しくも渡伯後最初の配耕日と同じ日付。そこから79年の長い歳月が流れ、今は多くの家族や友人に囲まれている。自分史の最後には《我が人生に悔いなし…》(74頁)と記されている。

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