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日本移植民の原点探る=レジストロ地方入植百周年 ◇戦後編◇ (116)=日本移民起源で最大の都市=中津川市と姉妹都市提携結ぶ

ニッケイ新聞 2014年2月1日
山田彦次県人会長

山田彦次県人会長

終戦後に発足した最初のレジストロ文協は正式登録も会館もない中、自然消滅していった。だが80周年(93年)を機に復活した新文協は早々に団体登録をし、10周年で念願だった和風建築の立派な会館をセントロに建設した。2013年の20周年には別館増築まで果たした。80周年前後を境に次々に再活性化を図ってきた。

多くの姉妹都市提携が形骸化する中、レジストロ市と岐阜県中津川市は1980年の提携以来、活発に交流を続ける稀有な例だ。そのきっかけは岐阜県人会だった。『80年史』によれば中津川出身の伊藤薫県議が岐阜県人会創立40周年式典(78年)に出席し、小池保中津川市長からの姉妹都市提携を求める要請を安田庄吉会長(当時)に手渡した。

山田彦次現県人会長(76、岐阜)によれば、中津川もお茶を生産している共通点があることから「レジストロはどうか?」との話が理事会で出たという。その背景には、当時理事だった現会長が〃バナナ王〃山田勇次の兄吉勝(よしかつ)と同船者(58年)で、勇次の姉と結婚していたこともあった。

現会長は「隅田弘さんらが対応してくれ、とんとん拍子で進んだ。姉妹都市提携は当時まだ少なかった」と思い出す。80年8月に小池市長が同地を訪問し、ジョゼ・デ・カルバーショ市長と提携文書に調印した。

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移民史料館として生まれ変わった海興の旧精米所

移民史料館として生まれ変わった海興の旧精米所

90年代、過去の遺産を現代に活かす取り組み始まった。海興(KKKK)が遺した立派な精米所は、1987年に聖州歴史遺跡認定局(Condephaat)がその重要さを認めて文化財に指定した。でも改修工事が始まったのはサムエル・モレイラ市長の時代、99年だった。市と州が共同で改修して文化教育センターに生まれ変わり、02年1月にレジストロ移民史料館が開館した。

『80年史』によれば1977年3月にレジストロ民謡大和会(吉田甲子郎初代会長)が生まれた。山口勉、吉田千鶴子らを指導者として、大勢の少年少女が民謡を楽しんきた。02年にJICAシニアの小田幸久の和太鼓指導を受け始め、文協和太鼓部「リベイラ涼風太鼓」として活動を本格化し、催しに欠かせない存在になった。

同地のラジオ体操も95年3月17日に有志7人がレジストロ文協前で始め、KKKKに場所を移して続けられている。

紅茶全盛期だった半世紀前に創立されたレジストロ農協婦人会の滝井孝子(たかこ、69、北海道)は「二、三世になると日本に関心がない人が多くなる。でも文協のおかげで、民謡や和太鼓を小さい子供がやっている。二世、三世本人は関心なくても、その子供の世代が関心を持ち始めている」と頷いた。

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福澤一興は「レジストロは海興が開発した中で一番規模が大きく、現在では6万都市になった。たとえばブラ拓の移住地で、5万人以上の町に育ったところがありますか?」と問いかける。

レジストロ人口は2010年のIBGE国勢調査で5万4279人だった。1920年代にブラ拓が続々と建設した日本人移住地に端を発して市政が布かれた町にはバストス(約2万人)、ペレイラ・バレット(2万6千人)、アリアンサを含んだミランドポリス(2万7千人)、アサイ(1万6千人)などがある。

つまり、この町が最大だ。戦前の海興は常にイグアッペ郡と連絡を密にしていたし、戦時中もリベイラ沿岸は立ち退きをさせられずに済んだ。戦後のRBBC創立、KKKK改修しかり――レジストロの特徴はつねに地元社会と力を合わせながら、日本との関係を強化してきた点だ。

100年という長い視点から見た時、明治の元勲を背景とする青柳郁太郎以来の国際協調的な移住、共存共栄の精神を背骨にして、地元と共に栄えてきた日系社会の姿が浮かび上がってくる。(つづく、深沢正雪記者)

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