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他の人もやっていれば正当か

 ジウマ大統領罷免審議は上院に場が移り、26日には特別委員会の委員長と報告官、27日には罷免請求理由の是非確認のための召喚者も決まった。現状では、6日の委員会と11日の本会議で審議継続を承認、大統領休職となりそうだ▼ジウマ大統領は今も「財政責任法違反に当たる事はしていない」と主張しているが、「(公的銀行から貸付を受け)粉飾会計と言い立てられている件は前任者達もやっていた」との弁はどう見ても言い逃れに過ぎない。というのも、4月6日付フォーリャ紙が報じた政府の借入額に関する中銀の統計が、現政権で粉飾会計が急増した事を如実に示しているからだ▼カルドーゾ政権末の公的銀行からの借入は9・5億レだったが、15年末に現政権が清算を求められた額は600億レ。カルドーゾ政権ではなかった勤続期間保障基金(FGTS)からの借入も300億レに上っている。FGTSからの借入は第2期ルーラ政権半ばの09年から始まり、看板の持ち家政策〃ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ〃などが始まってからは粉飾会計が増えたとの注もついていた▼「借金も財産」という人もいるが、公的銀行からの借金という違法行為で会計は健全と見せかけ、実は大穴を開けていたとあれば、国の将来を危険にさらす行為の一つといわれても仕方がない。ルーラ政権末期にはペトロブラス株の売却や外貨準備高の取り崩しといった形での赤字隠しも始まっており、「前任者もやっていた」という言葉に間違いはないが、子供にも「他の人がやっている=自分もやってよいではない」と言い聞かせてきた身には、なおの事、空しい言い逃れとしか映らない。(み)

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