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全米日系人博物館の新館長=南ア出身のバロウズさん


 【共同】米ロサンゼルスのリトルトーキョーにある全米日系人博物館の館長に就任した。日系米国人の歴史や文化の伝承が目的の同館約25年の歴史で初の非日系館長。「(博物館は)日系社会の錨のような存在。責任を感じると同時にわくわくしている」と話す。
 第2次大戦中に「敵性外国人」として日系人が強制収容されてから75年の節目。今年誕生したトランプ政権は、イスラム圏からの入国を規制する大統領令に署名するなど差別的な政策が懸念されている。
 「歴史を繰り返さないことがこの博物館と日系人社会の遺産であり、約束でもある」。政治の転換点に気を引き締める。「日系人が経験したような自由を脅かす事態には毅然と対応していく」
 博物館の理事会から買われたのは人権の闘士としての経歴だ。出身地の南アフリカで反アパルトヘイト(人種隔離)活動に身を投じ、国家の人権弾圧を告発。反逆罪に問われ、4カ月半投獄されたことも。
 南ア教会評議会勤務を経て、1991年に夫(故人)の留学先の米国へ移った。9年半働いた国際人権団体アムネスティ・インターナショナル米国の理事会長も務める。
 自らも収容経験がある日系2世ノーマン・ミネタ元米運輸長官は「彼女はこの博物館のビジョンを明確にし、私や理事たちは深く共感した」とお墨付きを与える。
 博物館を訪れたことのない米社会の層に理解を広げることが目下の課題だという。山歩きなどが趣味の60歳。

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