ホーム | 連載 | 2017年 | 中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会報告書=どうなる?! 日本との絆=コロニア必読の重要な方針 | 中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会報告書=どうなるの?! 日本との絆=コロニア必読の重要な方針=(6)

中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会報告書=どうなるの?! 日本との絆=コロニア必読の重要な方針=(6)

 (イ)中南米日系社会の若い世代間のネットワークの伸長については、各種青年交流プログラムや青年商工会議所等の組織・ネットワークの活動に加え、日系農業者等の国際的な交流促進を支援することが有意義である。
 (ウ)また、移住世代が日本の勤労倫理や文化的価値に対する中南米諸国の信頼を得るうえで貢献したように、日本への関心と接点を持つ新世代の日系人に、今日の日本の多様な魅力を通じた国際交流を担う現地社会とのしなやかな架け橋となってもらうことへの期待もある。
 今日の日本や日本文化に関するコンテンツの日本からの発信事業やジャパン・ハウス事業との連携を視野に入れていくことが重要になろう。
 加えて、日系人にとって、日本出身であることのみならず、どの都道府県、市町村の出身であるかというルーツが重要性を持っており、故郷感を醸成し、日本の出身地域と連携していくことが重要である。
 (エ)従来、日系社会や日本の情報の共有において現地邦字紙が大きな役割を果たしてきた。今日、その役割はSNSやインターネット等デジタル・メディアによっても担われるようになっていることに留意し、日本から中南米日系社会への発信や日系社会内の情報流通について取組を進めることが重要である。
 
 《ウ》小規模な日系社会の活性化のための施策

 小規模な日系社会においては、日系団体への支援とともに、各種招へい事業等も活用し、非日系人材の参画を推進し、他国の日系社会との連携やネットワークの伸長等を通じて、若い世代を惹きつけ、活動を活性化する手助けをすることは意義があると考えられる。
 また、さまざまな政策を動員しつつ、スポーツ大会や文化事業等の行事の開催を通じて他の中南米日系社会との連携を求める取組に留意して、オールジャパンとして様々なレベルでの支援を求めたい。

 

 《エ》その他

 

 (ア)中南米への移住が国民にとって身近なものでなくなって久しい今日、中南米日系社会に関する日本国内の関心と理解を高めることが重要である。
 そのために様々な方法の取組を通じて、中南米日系社会の歴史や現地での存在感、成功事例や現在の状況等について日本人の国民レベル・地方公共団体レベルの認知が拡がることが期待される。特に日本の若い世代への教育の観点からは、教科書等教育の場における取り上げも有効と考えられる。
 また、日本人の海外移住の歴史や中南米日系社会について何らかの形でとりまとめ、開発教育に取り入れることも重要である。
 また、日本の国民体育大会への中南米日系社会代表者の参加等は、日本国内の中南米日系社会への認知度を高め、国民レベルで双方の距離を近づける高い効果が期待される、或いは、中南米の日系競技会に日本人選手が参加するという提案もある。
 県人会その他日系諸団体や新世代リーダーの交流事業等日系人の中南米地域内ネットワーク活動等と連動して、若い世代の相互訪問や交流の機会を推進することは、中南米日系社会の日本への関心を喚起し、日系社会が世代を跨いで持続的に発展することの力になるであろう。
 また、日本の若い世代にとっても、中南米日系社会の同年代を通じて中南米各国社会を識ることは極めて有益であろう。
 また、「新日系人」が日本と日系社会をつなぐ新たな役割について着目すべきである。
 (イ)日系社会の実勢や、諸団体・ネットワークによる様々な行事や事業に関する情報、また日本に対する関心等を、政府や海外日系人協会が継続的に調査し情報提供することは、国内の関係各層が中南米との関係を深めていく上で重要であり、日本が中南米日系社会との継続的関係を構築していくとの重要なメッセージとなると考えられる。
 今後、世代交代の更なる進展にあわせ、中南米日系社会の状況を把握しつつ、日本側の対応を適切に更新していくことが必要である。
 (ウ)政府は、日系社会対策を強化すべく、その体制を見直すべきである。(つづく)

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