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米国不法入国者=ブラジル人の親子は全員再会=逮捕時の様子再現で遊ぶ子も

 米国のトランプ政権が4月に導入した、不法入国者は親子を分離して収容するという政策で、親から引き離された子供2551人の内、ブラジル人の子供51人は全員、親に引き渡されたが、親達は再会後の子供の変化に戸惑っている。
 ブラジル人の子供達は全員、親に引き渡されたとの報道は7月28日になされた。米国全体では7月27日現在も、711人の子供が親から分離されたままで、内431人の子供の親は既に本国に強制送還されてしまったという。
 ブラジル人子弟に関しては、トランプ大統領が世界的な批判を浴びた政策を見直す前に裁判所の命令で親と引き合わされた例があるが、それ以外の親子は、親から分離された子供を全員、親と引き合わすように命じた、米国地裁の判決後に親子再会となった。
 ナタリア・オリヴェイラさんは5月14日に米国に入り、同月26日まで5歳のサラちゃんと一緒に家族用の収容施設にいたが、その後引き離され、何も情報がない状態で約2カ月を過ごした。サラちゃんはずっとシカゴの施設に入れられていたが、ナタリアさんはテキサス州の施設を転々としたという。
 二人が再会したのは7月21日で、サラちゃんはその時、ナタリアさんに、「またバラバラにしたりしないよね」と尋ねたという。
 ナタリアさんは、サラちゃんがどこにいるかわからず、ブラジルにいる家族に、サラちゃんの居所を探してくれるよう頼んだ。これを受けた家族がテキサス州の総領事館に連絡を取ったため、サラちゃんがシカゴにいる事がわかったという。
 再会を果たしたナタリアさんとサラちゃんは、ボストンに住む親戚の家に身を寄せており、ナタリアさんも、米国滞在を正規化するための手続きを始めた。ナタリアさんは今も、米国に定住する希望を捨てていない。不法入国で捕まったブラジル人の大半は、ナタリアさんと同様、米国滞在を願っている。
 ただ、国境付近での逮捕や親子分離といった経験で、子供達の態度や行動に異変が起きたという報告もあり、再会で心の傷が消えた訳ではない事は明らかだ。
 その一例は、アナ・カロリーナ・フェルナンデスさんの子供のチアーゴ君(5)だ。アナさんと引き離されてしまう前のチアーゴ君は、ミニオンの人形で遊ぶのが大好きだったが、50日間収容施設に入れられた後に母親と再会した後は、もっぱら、不法移民に見立てた人形を拘束、逮捕し、手錠をかけて連れて行くという、自分が経験した様子を模した遊びばかりを繰り返している。
 アナさんによると、既に乳離れしてから何年にもなるのに、チアーゴ君は再会した日、母親の胸をまさぐったという。また、フィラデルフィアで一緒に住み始めてからは、来客があるとソファーの後ろに隠れるようになり、人前に出るのはもちろん、言葉を交わすのも嫌がるようになってしまったという。
 親と引き離されていた子供の多くは、情緒が不安定で、内向的になり、退行現象その他の精神的な問題も示すようになっている。3歳女児が周りの人に手錠をかける真似や注射をうつ真似をする例も、自らの体験を表現したものに他ならない。また、親とバラバラにならなければならない状態に置かれると、非常に不安定になる事も報告されている。(7月28日付ならびに8月1日付エスタード紙より)