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特別寄稿=ボケ予防手段としての金融投資=じっくり楽しもうマネーゲーム=経済回復は2022年から?=聖市在住 元週刊 FAXニュース代表 永井 忍=(4)

 さてブラジルは今、政治面では政権と反政権の力争いが上院で始まった。コロナ感染対策に関するCPI(議会審問委員会)を通じて、それが表面化し、経済金融面では不確実性を抱えながらも、特に金融市場では楽観、少なくとも落ち着いた事態になっている。
 コロナウィルス感染は、4月に月計最大の死亡者数、8万2千人を記録した。連邦政府のワクチン計画は遅れと課題を抱えて、ワクチン接種の進行とともに感染と死亡者数に減速の傾向が現れている。時期尚早と批評する専門家や新変異株の拡大を恐れる向きなど、反対は欠かないが、地方政府も次々と経済活動規制を緩和し始めた。
 中銀は予想以上に大きな利上げの正当化で、現行の景気鈍化は確かに見込み以上だが、楽観的なワクチン接種の進行を前提に、経済悪化は言われるほどには深くなく、しかも一時的なもので、下半期には急速な回復を示すという観測を示した。
 ただし現実には、感染拡大とそれによる医療体制崩壊と規制強化の余波と効果とともに、経済の再成長は企業の観測と戦略をすでに狂わしている。商業でもサービス業でもIBGE調査結果は期待以下のもの、しかも4月いっぱい続いた経済活動規制の強化によって悪化してきた。経済の再成長の前に立ちはだかるものはパンデミックだけではなく、それが深刻化したサプライチェーン困難、特に半導体の確保で各社が遭遇している困難だ。
 経済危機の乗り越えに企業が市場での調達(株式の新規発行)で現金増強してきた。さらに経済回復がようやく2022年からと見るようになってきた。CNI(全国工業総連盟)調査で回答企業の71%が経済回復はようやく2022年から見ていた。

(1)国内の主要なリスク
 リスクの上で前月に比較して、上院の感染対策CPI(議会審問委員会)が新たに加わって殊に政治リスクが悪化した。それでもDatafolha世論調査によれば、感染が最も深刻な時期になお大統領支持を保持するグループが手堅く存在する。
 そのようなグループの継続を脅かしかねないものが感染対策CPIの調査だ。ブラジルでは、CPI開始は明白でも終末は不明とよく言う習いだ。しかも感染が最も深刻で、不満が社会に強い時期に進むCPIは、政権のCPI対策のまずさが目立つ出足となっているだけに、ますます終末が見えないものと考えられる。
 コロナ禍の影響は、ひとえにワクチン接種にかかっているが、評価が極めて難しものの一つだ。一方でワクチン接種を受けた人数(比率)が確実に増加している。政府は、接種目標の達成繰上げを公言してはばからない。
 他方、例えば中国製ワクチン(Coronavac)では2回目接種が入手困難から接種停止や予定以上に遅延するなど、接種は問題が山積している。
 なお2022年大統領選向け工作は、上院の感染対策CPI中は水面下で進められる。そして本年度国家予算をめぐる問題は、財政的アナーキズムと批評する専門家は欠かないし、完全な問題解消ではないが、ゲデス経済相続投となる形で収拾された。
 それでも上院の感染対策CPIの始動は政局をより不安定にし、政権の求心力を弱体化した。ゲデス経済相が目論んでいた一連の構造大改革案は税制改革を手始めに、軽量化や先送りが進んでいる。予算危機収拾後に、経済相は省内の再編成、主要スタッフの入れ替えを行う事態に遭遇した。

(2)国外の主要なリスク
 リスクの上で特に目立つ変化は現れなかったが、ワクチン接種拡大に牽引された米国経済の回復がより鮮明になるなど、全般に改善と言えよう。中国経済の勢いは国際商品の相場を上げて、ブラジル経済にも寄与している。
 米国のバイデン政権が発足100日を経て、前政権との相違をより鮮明にしている。対中国の強硬路線は変わらないが、経済路線では法人税と富裕層課税の増税を財源とするインフラ計画、低所得層と企業への支援、さらに地球温暖化対策の国際協調主導などが、最近に行われた特徴的な措置だ。
 少なくともブラジルのメディアに入ってくる世界のニュースを見る限り、パンデミックと経済が主な出来事になっていて、特に経済面では米国発のものが主流になっている。米国のものと言えば、利上げ開始を計るためインフレと雇用の動向だ。それは長期国債利回りと株価などの形で表れてくる。
 株式市場のバブル兆候について、その存在や破裂の兆候をめぐる不安はやや後退した。逆に、米国政府の積極的な財政出動を前に、ワクチン接種の順調な拡大も手伝って、景気回復の前倒しの観測が強まってきた。それにつれて浮上する危惧は繰り上げた利上げ開始だ。
 特にインドとブラジルだが、コロナ禍の悪化が一部の国々の経済を強く阻害する中でも、中国や米国が見込み以上の経済成長を遂げていて、新たな《超国際商品サイクル》を発生して鉄鉱石などを代表的に国際商品相場を上げている。それは当然、主要な輸出国ブラジルの経済危機脱出を手助けするはずだ。

(3)2021年マクロ経済の観測(4月30日付Focus)

中央銀行サイトにあるインフレとSelicの動静グラフ。インフレの許容範囲を超えた数字が累積で出ている中で、Selicはしばらく上がる兆しをみせている

 GDPの3・14%と鉱工業生産の5・03%成長、IPCA(インフレ)の5・04%、年末にドル相場R$5・40と、5・5%のSelic金利。前回(4月1日付)にも前々回より悪化して、GDPの3・17%と鉱工業生産の5・29%成長、IPCA(インフレ)の4・81%、年末にドル相場R$5・35と、5・0%のSelic金利の観測だった。
 景気とIPCAは僅かでも再び前回より悪化し、インフレは目標上限(5・25%)に危険な形で接近した。現行より低い年末の観測だったドルは現行に並び、Selic金利に至っては2・75%時点から倍増という観測に悪化した。
 IPCAは3月に12カ月計で6・10%と、すでに目標上限を遥かに上回った状態であり、中銀は景気悪化を憂慮しても、5月には再び0・75ポイントの新たな利上げを行った。
 他方、景気は3月の鉱工業生産で前年同期比4・4%増加でも、前月比2・4%減少が急速に進んだ景気鈍化を浮き彫りにしていた。
 経済相は、均衡の為替相場をR$4・50と語って、ブラジルが「混乱期」にあるが、感染の減速に連れてドル下落(レアル高)が進んで、経済が国際商品輸出増加の後押しを受けて、下半期に再成長を急速に強めるという観測を変わった。だが経済省内にも不確実性を危惧する向きが少なくない。

(4)例年なら下落する5月でも投資は株式か

3月31日、サンパウロ株式市場「B3」で行われた入札の様子(Fotos: Felipe Dalla Valle/Palácio Piratini)

 政治リスク悪化は不安材料だが、インフレと金利の観測が上方修正中で、ドルは下り坂(外貨建て資産の下落)という構図の下では、株式シフトの投資構成をなお継続、またはやや増強という選択も可能か。
 Ibovespa(平均株価指数)は4月を118.894点で終えて前月比1・8%上昇し、3月の6・0%に続くプラスで年計をほぼゼロにした。他方、ドルはR$5・4036で終えて前月比5・16%下落した。それでも今年になお3・98%高だ。公共債券はTesouro Diretoによれば、市場の懸念と不安から再び下落し、今年の下落幅をさらに拡大した。
 ブラジル株式市場に外国人の関心を示す指数(MSCI Emerging Markets)は、今年2月に2000年1月以降最低の4・27%に減少した。2008年金融危機直後に、ブラジルが新興諸国の中で最も志向される国の一つになって、同指数の17%に達するに至った。
 同じことを別の角度から見れば、外国投資家がブラジルで株式上場から逃避している。2004年に株式上場で外国投資家が約70%を買い占めていた、最近10年間に30%台までにシェアを縮小した。
 そしてサンパウロ証券取引所(B3)取引での外国投資収支は、2月と3月に続いた赤字(出超)を逆転して4月に黒字(入超)を記録した。ただし黒字でも、取引高全体に占める外国投資家シェアは買いの24・92%、今年最少に減少していた。

(5)ドル相場はどうなり、外貨建て資産は投資対象か
 政治リスクは相対的に悪化、財政運用は不透明でも、例としてゲデス経済相の楽観を上げるまでもなく、ドル下落(レアル高)の観測が強まっている。なおドルは4月をR$5・4036で終え、市場観測平均(Focus)は今年末にR$5・40の相場を見込んでいた。
 一方に、ドル安に賭けず、運用残高の世界的バランスを増強と推奨する専門家がいる。国内では財政面の懸念は払しょくされていない。政治リスクに関連する様々な不確実性が継続している。予想を上回る利上げでも、外国投資家の慎重振りを崩すに足りるか疑問が残り続ける。
 国外では、特に米国での繰り上げた利上げ開始の不安だ。米国が最近に主導した気候首脳会議は、新たな環境秩序レースでブラジルの不利を明白化し、アマゾンでの環境保護を明確に規制施行しないならば、ブラジル製品ボイコットや投資制限に遭遇と脅されている。
 他方、ゲデス経済相が期待する展開が部分的にであれ現実化するシナリオだ。財政面の懸念が緩和したうえに、国内で急速に進む利上げ、国際商品の相場上昇による輸出増加(外資流入)だ。4月の5・16%下落を支える流れだ。それでも今すでにR$5・00割れを見込むほどに楽観する専門家は少ないようだ。
 なお全ての金融取引を対象にする中銀の外国為替収支は3月の赤字36・74億ドルから、4月に黒字4・88億ドルに転じた。他方、貿易為替収支は3月の52・42億ドルから、4月に35・02億ドルに黒字幅を縮小した。そのうち輸出為替は214・25億ドルから201・05億ドルに減少した。
    ☆
 私の金融資産残高は4月に、月末に下落して上昇幅を縮小した平均株価より大きな増加を記録した。1月と2月の下落を解消して、名目では昨年末の残高を超えた。株式投信だけでなく、外貨建て資産もプラスで終わっていた結果だ。
 例年に株価が下落する5月にどう動くか。外貨建て資産への運用を推奨できる状況でないようだ。米国でインフレ上昇でも、今は(パンデミック後に)安全な資産への需要が減退するため、金の非投資を推奨する、とある専門家が語った。金は向こう12カ月間にU$1.700以下で推移しようとの観測だ。ビットコイン市場は、その後に下落したが、CoinbaseのNY上場とともに同通貨史上最高を記録したばかりだ。
 私は、株式シフトをやや増強する選択をとった。どのような結果になるか。

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