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《ブラジル》連邦高等裁が議員特権理由に一審判断無効化=大統領長男のピンハネ裁判で

ノローニャ判事(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 連邦高等裁判所(STJ)第5小法廷は9日、ボルソナロ大統領長男のフラヴィオ上議(パトリオッタ)のリオ州議時代のラシャジーニャ(職員給与のキックバック、ピンハネ)疑惑に関するリオ州地裁における一審判事の判断をすべて、無効にする判断を下した。これは「裁判所の管轄が間違っていた」との判断で、無罪判決ではない。9、10日付現地紙、サイトが報じている。
 フラヴィオ氏がリオ州議時代(2003〜16年)に自身の身内などを幽霊職員として雇い、彼らに支払われた給料のほとんどを父の友人で、フラヴィオ氏の秘書室の統括役でもあったファブリシオ・ケイロス氏の口座に振り込ませていたとされるラシャジーニャ疑惑。父ボルソナロ氏が大統領選に当選を決めて間もない2018年12月に発覚して以来、ずっと、ボルソナロ家にまつわるスキャンダルとなっていた。
 ケイロス氏は20年6月に逮捕され、フラヴィオ氏も同年10月にリオ州検察局から組織犯罪計画、公金横領、資金洗浄の容疑で起訴された。フラヴィオ氏らへの起訴状は、リオ州地裁のフラヴィオ・イタバイアーナ判事が受理し、捜査開始を認めていた。
 だがフラヴィオ氏は、この捜査を「違法行為」などとしてSTJに訴えを起こしていた。
 9日の審理では、報告官をつとめたジョアン・オタヴィオ・デ・ノローニャ判事が、フラヴィオ氏は議員特権(フォロ・プリヴィレジアド)があり、リオ州地裁の扱う対象ではないと主張。この説にSTJ第5小法廷の判事3人が賛同し、4―1でリオ州地裁の判断を無効とした。

 ノローニャ判事の判断によると、事件当時のフラヴィオ氏は州議だったから、地裁の扱いではないという。政治家に対する訴状の扱いは「容疑の起こった時期」で裁判管轄が決まるが、州議の場合はフォロがあるため、第1審を担当する地裁の管轄ではないと判断した。
 ノローニャ判事は今年3月に、フラヴィオ氏が提出した、金融活動管理審議会(COAF)の記録に基づく同氏の口座の情報公開を禁止する要請を同じSTJ第5小法廷が棄却する判断を下した際も、フラヴィア氏の言い分を擁護する見解を示していた。
 今回の審理は、フラヴィオ氏が、州議から上議に転じた時点で地裁による捜査、裁判の対象外となっているとの論理で行った抗告を認めるか否かを判断するもので、地裁の判断の全てを無効化する判決が出た。
 ノローニャ判事はかねてからボルソナロ大統領に関して有利な判定を行うことで知られており、フラヴィオ氏にブラジリアにある豪邸を売った企業家の妻が同判事の元側近だったことをはじめ、ボルソナロ家との緊密な関係が裁判に影響を及ぼしているのではとの疑惑がたびたび報じられている。