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《ブラジル》2年余の投獄生活に終止符=子殺しの嫌疑が晴れた若き父

無罪判決を得て刑務所を出た息子と抱擁を交わすレジネッテ氏(11月30日付G1サイトの記事の一部)

 ペルナンブコ州ペトロリーナで11月25日、生後8カ月の子供を殺害した嫌疑で2年と14日間を刑務所で過ごした24歳の男性の陪審裁判が行われ、無罪判決を勝ち取ったと11月30日付G1サイトなどが報じた。
 生後8カ月のドウグラス・ラヴィ君が死亡したのは19年10月で、父親で建築助手のドルジヴァル・ジョゼ・ダ・シルヴァ・ジュニオル氏は2週間後の11月4日に子殺しの罪で逮捕された。
 ドルジヴァル氏とその妻、ドウグラス君とその双子の兄弟は事件前夜、誕生日のパーティから帰ると、そのまま眠り込んだ。
 ところが未明にミルクを作って飲ませようとしたところ、ドウグラス君が息をしていないのに気づき、救急車を呼んだが、救急車が来た時はもうドウグラス君は事切れており、警察が呼ばれた。
 検視では、ドウグラス君は気管をふさがれた事による窒息死という鑑識結果が出たが、事件前日にドルジヴァル氏が着ていたシャツから血痕が見つかった事で、警察がドルジヴァル氏の犯行と結論付けたという。
 我が子を失った悲しみも覚めやらぬ中、子殺しの罪で逮捕されたドルジヴァル氏は「無実だ」と主張したが、その後、2年余りを刑務所で過ごす事になってしまった。

 だが、刑務所の外では、彼の無実を信じる人達の懸命の努力が続いた。決して裕福とはいえない家族が、自費で検視官をみつけるなどして、真相をつかみ、捜査の盲点を見出す事で、彼の無実を証明しようとしたのだ。
 他方、ドルジヴァル氏の母親のマリア・ルジネッテ氏は、息子が無罪との判決を得る事ができるよう願い、刑務所から自宅までの25キロの道を、祈りつつ歩くという日課を繰り返した。
 裁判は12時間に及んだが、弁護士は、ドウグラス君は自分が吐いたミルクで窒息したという鑑定結果を示して無罪判決を勝ち取った。検察側も証拠不十分として、無罪判決を要請していた。
 ドルジヴァル氏が開放されたのは翌日だったが、刑務所の前で待っていたルジネッテ氏は744日ぶりに、何にもはばかられる事なく、息子との抱擁を交わした。
 「2年以上待たされた事に比べたら、25キロの道を歩く事はなんでもない」というルジネッテ氏の言葉は、息子の無実を信じ続けた母親の強さを示している。
 父親になる日を夢見ていたドルジヴァル氏は、双子の妊娠、誕生で喜びに溢れた毎日を過ごしていたが、突然訪れた我が子の死と逮捕という出来事で、悲しみと苦しみのどん底に突き落とされた。
 残されたもう一人の息子の成長を見守る事さえできなかったドルジヴァル氏は、ドウグラス君の死などを嘆きつつも、自分を信じ続けてくれた兄弟のエメルソン氏と共に母親の傍らに座し、失われた日々や仕事などを取り戻すための旅を始める事を心に誓った。

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