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灯台もと暗し=(下)=見落とし易い浴室での事故=突然死だけでなく転倒も

健康広場

9月15日(水)

 何かにつまずいたり、転落したりと数々の危険が家庭内に潜んでいることはこれまでの本項の記事で分かってもらえたと思う。
 最後となる今回は、きれい好きな日本人ならおそらく毎日利用しているであろう入浴やシャワーについてその危険性を検証しよう。 突然死――こう聞かされるとピンと来ないかもしれないが、入浴中の突然死は高齢者に多く見られる。
 「どうしてお風呂で」という人もいると思うが、その原因は急激な温度差である。日本の冬ほど冷え込みはないブラジルだが、サンパウロでは冬場の夜や明け方に十度以下に冷え込むことも少なくない。寒い脱衣所で急に衣服を脱ぐと、血圧が上昇。脳出血を招くことになる。
 また、熱い湯船につかったり、熱いシャワーを長時間浴びていると逆に血圧が急低下し、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高まるのだ。
 日本でのデータを見ると死亡につながる家庭内事故の約三分の一が浴室での突然死や、事故――。また冬場に多く、七十五歳以上の高齢者が特に要注意となる。
 それでは対策はーー。(1)冬場の暑い長湯は避け、38度から41度程度にすること(2)脱衣場を温めておく。一番風呂より二番風呂がよい(3)一人ぐらしの高齢者は事前にシャワーで蒸気を出し、浴室を温める(4)血圧降下剤を入浴の直前直後に使わない(5)高齢者が入浴するときには家族に一声掛けるーーなどが考えられる。
 また浴室は恐ろしい転倒の危険地帯でもある。
 「船で温まり立ち上がる時に足が滑って転倒した」「シャワーの最中に石鹸を踏んで転倒した」「浴室から出る時に足拭きマットを踏んで倒れた」など危険は沢山潜んでいる。
 これまでも紹介したように高齢者の転倒は、大たい骨の骨折を引き起こしやすく、結果として寝たきりや他の感染症を招くことになりやすい。
 高齢者だけでなく家族全体が一緒になって、浴室周辺の点検をする必要がある。
 まさか我が家に限ってーーそんな油断が命取りになりかねない。反射神経や筋力が低下している高齢者を家族全体で支えたい。
 

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