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酒=ミオロはジャイアンツ

グルメクラブ

10月22日(金)

 国産ワイン大手メーカー、ミオロ社がこのところ新発売した赤ワインがどれもいい。中でもいま人気沸騰でほぼ完売という「RAR」はラルと読むのか。その売り文句に感心した。「高度3000フィートの個性」と、商品カタログで強調する。産地はリオ・グランデ・ド・スール州の一千メートル地帯。天国に近いワインという幻想が、大衆の消費をかき立てる。ブドウ品種の配合はカベルネ・ソーヴィニヨン六割、メルロー四割。「RAR」はその畑の所有者ラウル・アンセルモ・ランドン氏の頭文字らしい。恐らくブラジルワインで一番短い商品名だろう。
 このほか、ミオロは同州のベント・ゴンサルヴェスや、カンパーニャ・ガウーシャに拠点を持っているが、バイーア州ヴァーレ・ド・サンフランシスコでもワインを生産している。ヴァーレではロヴァラ社(本拠地ベント・ゴンサルヴェス)と手を組み、この有力二社は今月から販売流通でも協力すると電撃発表。プロ野球にたとえれば、巨人(ミオロ)と、最近粒ぞろいの選手が揃っている中日(ロヴァラ)が合併したようなものだ。
 巨人らしく、ミオロは「大物外国人選手」の獲得にもいち早く興味を示し、メジャーリーグ、フランスから来たミシェル・ロラン氏が現在大活躍している。この助っ人、実績は超一流。ボルドーでワイン醸造を専門に学び、これまでフランスはもとより、チリ、カリフォルニア、スペインなど世界十カ国以上の有名メーカーに招かれ指針を与えてきた人物である。ほかならぬ「RAR」ばかりか、「キュヴェ・ジュゼッペ(Couvee Giuseppe)」「キンタ・ド・セイヴァル(Quinta do Seival)と立て続けにスーパーワインを誕生させ、巨人はいま国内リーグの首位を独走している。
 三本とも同じ価格帯(五十レアル前後)のアルゼンチンやチリのワインと互角以上の勝負を展開。国際品評会でいずれも金メダルを授賞するなど実力は早くもメジャー一歩手前の3Aには達している。当主のアドリアーノ・ミオロ氏の達成感に満ちた発言がいい。「これまでウチのワインを無視していた層(つまり高級所得者のグルメ)を顧客にすることに成功したんだ」と「ヴェージャ」誌のインタビューで語っているのをみた。また、同氏によれば、「国内で生産されるワインの三分の二は一本十レアル以下の商品として売られる。残りのワインはまあまあ悪くないものだが、うち高品質と呼べるようなものはわずか一割程度」。
 確かに。ブラジル人が消費する国産ワインの多くは安いテーブルワイン。それも甘口の白ワインが一般に好まれる傾向にある。逆に輸入ワインを購買する層の八~九割は赤ワインを選ぶという。五十~六十レアルの舶来赤ワイン。それがミオロの当面のライバルだ。頑張れ、ナショナルリーグの盟主!

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