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生活習慣病=危険=自覚症状ない=無症候性心筋梗塞=急性に比べ死亡率3倍=無痛性で誤診も発生=予防にはやはり定期検診

健康広場

11月24日(水)

 一般的に心筋梗塞の症状は、胸痛に始まって顔面蒼白や呼吸困難、恐怖感、冷や汗、吐き気が重なることは周知の通りだろう。場合によっては、さらに嘔吐が加わることも。でも、要注意! 痛みを伴わない場合がある。無症候性心筋梗塞(Silento MI)と分類され、全世界の患者のうち八・四%がこの疾患に属するとされる。無痛性のために、早期発見が困難。急性に比べ死亡率が約三倍も高いことが調査の結果分かっている。

 「吐き気を感じましたが、まさかそれが心筋梗塞だったなんて。自分で車を運転して病院までいったんですよ」。ミゲル・ロドリゲス・ダ・シウヴァさん(年金生活者、元銀行マン)が健康雑誌に語った体験談だ。
 日曜日にフェイジョアーダ、月曜日に誕生日ケーキの一切れを食べた後、吐き気をもよおした。体調が悪化して病院にいったが、注射を打つだけで診察は終わった。しかし病状が快方に向かわず、後日心電図を撮ったところ心筋梗塞であることが分かった。「深刻なことになっていたなんて想像もつきませんでした」。
 心筋梗塞を含めた心疾患は、日本でがんに次いで死因の二位。(1)高血圧、(2)糖尿病、(3)高脂血症、(4)肥満、(5)喫煙、(6)ストレスなどが心筋梗塞の発症に関係があるとされる。
 森口幸雄南リオ・グランデ・カトリック大学老年医学研究所所長は著書の中で、八〇年代の話として移住者は日本在住者に比べて心筋梗塞になる危険が十五倍高いと記述。肉食や動物性油の摂取が増加したことなど食生活の変化を理由に挙げる。シウヴァさんの体験は、決して他人事ではない。
 無症候性心筋梗塞には(1)症状の全くない群、(2)心筋梗塞発症後に現れる胸痛を伴わない群、(3)狭心症に併存する群──の三タイプに分けられる。(1)は本人が健康だと思い込んでいることが多いから、早期発見が極めて困難だ。また認識不足から医療過誤にも陥りやすく、厄介な問題を孕む。
 ブラジルを含めて、世界十四カ国から二万八百八十一人の患者が参加して実施された調査がある。それによると、無症候性は急性に比べて死亡率が約三倍。退院後の体調でも心不全、不整脈を発症する人が、いずれも約二・二倍のリスクを持つことが分かった。
 糖尿病患者は神経障害を合併させることがあり、症状に無自覚になりやすい。また呼吸困難や疲労感などの症状は、両者の識別を複雑にさせる。血液検査でグルコース(ぶどう糖)の値を測定。正常なら、直ちに心臓に注意を向けなければならない。
 高齢者も、ほかの老人性疾患と混同されるおそれがある。先の調査で、六十五歳以上の患者のうち七〇・六%が無症候性だった。女性にも無症候性が多いとされるが、その理由はまだ判然としていないという。
 前述した高血圧や肥満、糖尿病などの危険因子を取り除き、適度な運動をすることが最大の予防策。つまり、自身の生活を見つめなおすことから始まるわけだ。四十歳を過ぎたら、定期的な検診を受け、病気の早期発見に努めることが勧められている。
 【狭心症・心筋梗塞】心臓の筋肉に栄養と酸素を送り込む冠動脈が動脈硬化などで血管が狭くなったり(狭心症)、完全に詰まったり(心筋梗塞)して発症する。心筋虚血症と言われる。心筋梗塞では、患部にバルーンを入れて血管を押し広げたり、バイパス手術などが行われる。

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