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風邪予防=柿が食べごろ=二日酔いにパワー

健康広場

5月4日(水)

 朝食を摂らずに出勤する時、通勤途中のバールでカフェとポン・デ・ケージュをたのむ。夜勤明けのタクシー運転手がビールで喉を潤し、学生が授業前に友人と世間話を楽しんでいる。ごく、ありふれた光景だ。
 テーブルに当たる日の射し方が日々細長くなっており、秋めいたと感じる。日本の実家から自転車で三十分ほどの距離に、十四世紀末に開かれた臨済宗の大寺があり、そこの紅葉が美しかったと何故か郷愁を誘った。
 農家の庭先には、いつも干し柿が吊るされていた。戦中・戦後の食糧難の時代に育った世代によると、当時最高級の食べ物でこっそり盗んだそうだ。昔から非常食として、口にされてきたという。
 「柿が赤くなれば、医者が青くなる」。そう表現されるくらい、柿の栄養価は高い。ビタミンK、B1、B2、カロチン、タンニン(渋味の原因)、ミネラルなどを多く含有している。
 柿生産者協会前会長の益田照夫さん(ピエダーデ文化体育協会会長、愛媛県出身、63)は「ビタミンCが豊富で、私は一日二~三個食べます」と太鼓判。「渋味の濃いのはサラダ、甘いのは食後の果物として食べたら美味しい」と勧める。
 肝臓の解毒を助けるアミノ酸が多く、風邪予防や二日酔いに有効だ。カリウムによる利尿作用も期待出来る。天日に干すと、タンニン細胞の内容物が凝固。甘く美味しくなる。もちろん、栄養的にもアップ。ビタミンAの含有量は生の二倍になり、食物繊維も増える。
 柿はブラジルでも、カキ(caqui)だ。「日本に比べて大きく、色つきも味もよい」と、益田さんは自負する。樹木になっている期間も、二カ月くらい長いそうだ。
 ピエダーデでは、かつてバタタや玉葱、人参が主に栽培されていた。九〇年代に入って柿の栽培技術が改良され、「富有柿」(甘柿の一種)の産地として名を売ることになった。
 「レアルプランが始まって一ドル一レアルの頃、六~八個入りのケースが六十レアルで売れた」(益田さん)。柿生産者協会が九五年に組織され、商品の売り込みなどに注力した。五年目の柿祭りは、今年から現地文協が主催。コロニアを挙げてのイベントになる。
 祭り当日(今月二十~二十二日)に、二千~三千箱を販売する見込みだ。「リオデジャネイロにも、出荷されるようになった。健康にも良いことだし、もっと知名度を上げていきたい」。主催団体の会長でもある益田さんは、声を弾ませた。

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