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システム崩壊の危機=健康保険=連載(4)=健康保険法の概要下=退職者にも恩典あり

健康広場

5月18日(水)

■団体加入
 団体加入とは事業主、組合、団体を通して契約するもの。全体の七割を占める。法律上、「Contrato coletivo empresarial」と「Contrato coletivo por adesao」に分かれる。
 前者は、法人(企業、組合、団体)の職員が就職すると、自動的に加入するもの。扶養家族を入れることも可能だ。後者は任意に加入。扶養家族も本人の選択に任される。基本的に、団体加入は個人加入と同じだが、異なる点もある。
(1)持病 五十人以上の団体加入の場合、保険会社は持病をカバーするためにカレンシアを設けたり、保険金を上乗せして徴収することは出来ない。五十人未満は、個人契約と同じ扱い。
(2)カレンシア 「Contrato coletivo empresarial」は加入者が五十人以上の場合、なし。「Contrato coletivo por adesao」は加入数に関わらず、認められている。
 新規(一九九九年一月四日以降)の団体加入には、大きな欠点がある。CONSU(国家保健審議会部会)の決議によって、労働災害とそれによる二次災害、職業病が保障の対象からもれているのだ。
 建設作業員が足場から落下してけがをした時、保険は対応しなくてもよいことになる。現行法では、事業主が望んだ時にだけ規約が契約に盛り込まれるにすぎない。
 IDEC(ブラジル消費者保護団体)は、労災をカバーしないのは健康保険法自体や消費者保護法に違反すると主張。この規定で損害を受けた人は、規定の有効性を巡って、司法裁判所に訴えを起こさなければならないだろうと解釈している。
■退職者と失業者
 団体加入の被保険者が定年退職、解雇、自主退職で勤務先を去る場合、本人が保険料を負担すれば、仕事を辞めた後も引き続き、ある程度の恩典に浴せる。
 (1)定年退職 十年以上勤務した者は、死亡するまでサービスを受けられる。十年未満の者は、勤務年数だけ保険を使える。
 (2)解雇・自主退職 背任行為などの理由で解雇された時は、権利を失う。自主退職は、勤務期間の三分の一だけ。ただし、最低六カ月、最高二十四カ月との制約がある。
 保障期間が終了した時、消費者は保険会社と相談。団体加入から個人契約に切り替えることが可能だ。この時、カレンシアはない。
 暫定令は、消費者が新たな雇用を得たなら契約は失効すると規定した。IDECは、この規定は消費者が団体プランの付いた仕事に、就労した場合にだけ有効。それに反する時は、前のプランのサービスを受ける権利があると主張している。
 ところが、暫定令1976─30号が二〇〇〇年八月に発令。雇用主が保険料を全額負担していれば、退職者や失業者は保険契約を継続させることが出来ないとした。被保険者が医療機関の窓口で一部自己負担していても、不可。同暫定令を覆すには、提訴しかない。
 このような権利の制限は、契約の一方的な解約を禁じた健康保険法や消費者保護法に抵触する恐れがある。
 CONSUによると、定年退職者や元従業員を対象に雇用主は保険会社と団体加入の契約を交わせる。労働契約が有効の間に登録されたなら、加入者の恩典は扶養家族にも適用。扶養者が死亡したとしても、効力は維持される。
 退職者や失業者の権利が、保障期限が切れるなどして失効。本人が同じ保険会社のプランを新たに契約する時、カレシアを経なくてもよい。(つづく)

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