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友好病院が誇る靭帯再建手術=関節鏡で治療が迅速化=半年でスポーツ復帰

健康広場

6月29日(水)

 前十字靭帯(じんたい)は膝の中央にあって、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつないでいる。すねの骨が前方にずれるのを抑え、膝の安定性に欠かせない組織だ。スポーツや交通事故などで切れたり断絶してしまうと、自然に元に戻らない。日伯友好病院(大久保拓司院長)は二〇〇〇年から、自家組織を利用した再建手術を行っている。関節鏡を用いた最新式の技術で、従来に比べ手術の傷が小さくて済むため回復がかなり早まった。
 国民的スポーツと危険
 「人の数だけ、監督がいる」。ブラジル民のサッカー熱は、宗教とも言えそうだ。ペラーダ(草サッカー)に興じる人の姿を町のあちらこちらでみかける。「サッカーは格闘技」。競技中に、激しい体のぶつかり合いが少なくない。
 山下ジョルジ整形外科医は「靭帯損傷の第一原因は、やはりサッカー」と苦笑いを浮かべる。具志堅カオル、岡田カズアキ、ファビアーノ・ヌネス・ファリア医師の四人でチーム結成。〇〇年に新技術を導入後、既に六百人の患者が手術を受けた。
 靭帯の機能と損傷原因
 前十字靭帯は、細い繊維が束になっているような構造をしている。膝の下の骨が内側に回旋し過ぎたり、前方に出過ぎるのを防止。急激にストップしたり方向転換したりしても、膝の安定性を保てられる。
 かなり丈夫にできている靭帯は、容易に傷つかない。しかし、膝の組織は精密で微妙なバランスのうえに安定性を確保しており、膝の角度や外力の加わる方向によっては案外もろく損傷してしまう。
 損傷の主な原因はジャンプ、着地、ひねり、ストップの際に膝にかかるストレス。直接物体や人があったり、スキーでの受傷のように膝に回旋力や内・外反力が介達的に働いて受傷することもある。完全に切れてしまう場合だけでなく、部分的な断裂・伸びた状態でも本来の機能を果せない。
 症状
 受傷時に「ベキッ」とか「ボキッ」とかの断裂音が聞こえ、膝を抱えてうずくまってしまう。しばらくすると直立可能になるが、膝はグラグラと不安定な状態。時間の経過ともに膝関節に腫れがみられる。
 慢性期(受傷後三カ月以後)になると、膝くずれ(歩いていたり急に振り向いたりする時などに、膝がガクッとして崩れてしまう)や大腿四頭筋の萎縮(太股の筋肉が細くなる)などが発生。二次的に半月板や軟骨損傷などを招き、スポーツ不能になる。
 ただ、二週間もすれば痛みや腫れがひいて歩いたり走ったり出来る場合があり、素人判断は禁物だ。
 再建手術
 友好病院が行っている再建手術は、自家組織(靱帯、腱)を移植させるというもの。もちろん、長期間のリハビリが不能などの時は、靱帯を切れたまま温存。筋肉トレーニングなどで対処することもある。
 山下医師は「一カ月~一カ月半で軽いランニング、半年~一年でサッカーやテニスに復帰することが可能だ」と手術の実績に自信をみせる。従来は、メスで患部を三センチほど切開していた。三日から十二日間の入院が必要。リハビリに一年かかり、筋肉が萎縮してしまう恐れもあった。
 関節鏡を使用すると、手術の傷が二センチほどで済む。その結果、患者の負担が軽減。入院も一日だけで、早くリハビリに移れる。移植した組織を固定するための器具も金属ではなく、骨との親和性が高いという。
 同医師は「整形外科で一番進んだ技術。手術は短時間で終わり、回復が早い」と保証。「半月板損傷の手術なども行っており、膝から下の整形外科なら任せてください」と話している。

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