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洪水による食物汚染=A型肝炎に感染の恐れ=耐久力あるウイルス=衛生管理に配慮しよう

健康広場

2006年1月25日(水)

 雨季といえば、集中豪雨や洪水のニュースがよく流れる。浸水により、犠牲者は家具・自動車・家電製品などを失ってしまうのは周知の通りだ。民家や食料品店に保存している食品が、泥や下水によって汚れた結果、ウイルス感染を引き起こしやすい。その一つがA型肝炎だ。ウイルスの耐久力があるだけに、洪水の後は特に、料理や食料品の買い物に十分気を使いたい。
 A型肝炎ウイルスは、ピコルナ・ウイルス科ヘパト・ウイルス属に属する病原体。(1)糞便に汚染された水や氷(2)野菜・果物(3)かきなどの魚介類──を介して、経口的に感染する。
 クリニカス病院のアンドレア・ルイーザ・ジョルジさん(栄養士)によれば、非常に耐久力のあるウイルスで、乾燥食品(パンなど)で三十日、マイナス三十度に冷凍した果物で十カ月、二十度に保たれたミネラル・ウオーターで八十九日生存する。
 汚水につかった加工食品は、もちろん捨てなければならない。生のものが利用できないのは、言うまでも無いだろう。
 例外は皮のついた果物。例えばメロン、マンガ、スイカ、ミカンだ。「食前にまず飲料水で表面を洗浄し、その後塩素の入った水に十五分間浸せば大丈夫」と、アンドレアさんはいう。
 缶入りの食品は、缶をきる前に石鹸をつけて洗浄しなければならない。鍋、食器などは、洗った後に煮沸消毒する必要がある。A型肝炎ウイルスは八十五度一分の加熱で不活化するので、十分に加熱調理してあるものを食べるのが望ましい。
 ウイルスの潜伏期間は平均約一カ月。三十八度以上の急激な発熱から発症し、全身倦怠感、食欲不振、悪心嘔吐、黄疸などがみられる。特異的な治療方法はなく、安静と食事療法が基本だ。
 B型肝炎に比べて頻度は少ないものの、劇症肝炎を引き起こす恐れがあるのも注意しておきたい。男女を問わず、すべての年齢で起こりうるものだ。特に高齢者に多い。
 肝細胞は増殖する能力に富んでいるために、急性肝炎の大部分は、肝細胞が壊されても自然に元の状態に戻る(肝再生)。しかし劇症肝炎では、この破壊が広く及ぶために、肝細胞の増殖が遅れて、適切な治療を行わないと高頻度に死に至る。
 サンタ・カーザ病院のマルコ・アウレリオ・ピザリ・サファディ医師は「この八年間に肝臓移植を受けた患者さんの病気の中で、A型肝炎から発生した劇症肝炎が目立っている」と警告。予防接種を受けるように勧める。
 八〇年代に実施された調査では、感染のリクスは衛生教育や家庭の下水設備に関連があるとされた。ウイルスとの接触が既にあったため、下層階級(サンパウロ市)の一〇〇%が免疫を持っていたという。
 この十年間に、この構図は変わった。下水設備の改善や塩素消毒の普及があったためだ。九〇年代末の調査で、社会階級を問わず、免疫を持つ人の割合は六五%だった。換言すれば、市民の三五%がA型肝炎の危険にさらされているということだ。

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