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呼吸器炎症=9割がウイルス性=抗生物質は効果なし=目立つ不適切な服用

健康広場

2006年2月8日(水)

 風邪、扁桃腺、咽頭炎、副鼻腔炎、肺炎、喘息。これらの病気に共通しているものと言えば、呼吸器の炎症だ。未成年者、成人、高齢者を問わずに発症。多くが咳や熱などの症状を訴える。原因の九割がウイルスで、残り一割がバクテリアだ。両者の治療は、根本的に異なる。患者が自己流の判断で医薬品を服用すれば、炎症が慢性化。回復には、かなりの時間がかかってしまう。
 抗生物質は一般に、バクテリア性の場合に利用される。ウイルス性には効果がなく、症状を緩和させたり、回復を早めるわけでもない。
 患者の九割がウイルス性だと言われる。うち六割ほどが、必要の無い抗生物質を服用しているのが現状だそうだ。
 「不適切な薬であっても、大部分の患者さんは症状が改善すれば、薬を飲むのをやめてしまう。しかし、薬に対する免疫力がつくゆえに、本当にバクテリア性の治療をする必要が出てきた時に、治療が困難になる」。
 サンパウロ連邦大学呼吸器科教授のクリステネス・オディール・シルヴァ氏はそう警告。自己流な判断で、医薬品を服用することに注意を促す。
 保健省の統計によれば、〇三年に統一保健システム(SUS)扱いの病院で、入院理由の一五%が呼吸器炎症。出産に次いで、多いものだった。〇二年には死亡者の一一・一%を占めていた。
 呼吸器炎症の疑いがある場合には、内科医、小児科、耳鼻咽喉科にかかるように勧められる所以だ。
 シルヴァ氏は「ウイルス性かバクテリア性かを見極めることが、適切な処置をする上での基礎。それが不適切な医薬品の服用を避け、副作用の発生を防ぐことにもなる」と話す。
 呼吸器炎症は一般に、冬季に起こる。気温低下や乾燥のため、体の免疫力が低下。締め切った部屋の中で多くの人と接触する機会も増え、ウイルス感染を助長してしまう。
 ブラジルでは年間を通じて、急激な気候の変化がちょくちょくみられる。体内温度を維持するため、組織が外部に適応しようとする結果、呼吸器の炎症が発症しやすい。
 ウイルス性の場合、医薬品によって症状を緩和させたり、病気の回復を早めたりすることは可能だ。今のところ、ウイルス自体を消滅させることはできない。もっとも、体内の組織がウイルスに対抗するのを手助けはするが。
 最近、ブラジルにウイルス性に対する新たな治療薬が入ってきた。南アフリカ原産の植物の根から抽出した成分をもとにしたもの。即効性があり、早期回復につながるという。

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