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日系健食業界の攻防=連載(11)=プロポリス=リピーターの獲得が鍵=イメチェンで日本市場拡大

健康広場

2006年1月25日(水)

 「販売に当たって、十分に注意するようにしています」。日本プロポリス協議会(角田汎造会長)は警戒心を強めて言った。薬事法違反で逮捕者が出た、アガリクス業界の〃災禍〃が飛び火してくるのを恐れているのだ。
 プロポリスも、もともと一九九〇年代初めに成分内に抗がん物質が認められたという日本人研究者の報告で、人気が急速に広がった。医薬品としての効果を求める消費者が、少なくないのかもしれない。
 事務局は「(プロポリスは)決して、薬ではありませんから」と、語尾を力強く発音しながら訴えた。医薬品だとの誤解が改まり、健康食品というイメージが定着すれば、市場はさらに拡大していくとにらんでいるのだ。
 同協議会は業界の健全な発展と共に、消費者の健康に役立つ機関として、一九八七年八月に設立された組織。品質・安全面の自主基準を定め、適正な表示、製造管理、販売方法などを律していくことが大きな使命だ。
 サイト上で、「国内最大」「業界唯一の集約的団体」と自負する。生産・加工・販売業者や研究者などが入会。南米は、ブラジルから六社、ウルグアイから一社が入っている。
 内外資料の収集、各種研究会、講演会、対外PR事業、会員の情報交換・親睦なども活発に実施しているそうだ。
 「プロポリスの一般的な知名度はやっぱり、まだ低いのではないないでしょうか」。健康ブームだと言われながらも、事務局は少し冷めた見方をしている。
 というのは、価格がまだ高いからだ。三十ミリリットルが、三千円~一万五千円で取引されている。
 産地別では、ブラジル産が主流だ。最近は中国、ニュージーランド、ウルグアイからの輸入が伸長。ブラジルから原塊を持ち込んで、日本国内で独自に抽出する業者も増えてきた。
 〃国際競争〃も激しさを増す勢い。安さを追究する業者も現れ、ブラジルの生産者たちは危機感を募らす。輸出に関わる税金などを考慮すると、コストが高くなると考えているからだ。
 事務局は「『生存競争が熾烈』とは言えない。うちの会員さんたちも、お互いに意見交換をし合って、業界を盛り立てるように奔走してくれていますし……」と明確なコメントを避けた。同協議会は、一定の基準を満たす商品に対して認定証を発行することで、品質を保証、消費者を保護しようとしている。
 ただ高価なものほど、効き目があると思い込んでいる消費者も目立つらしい。一本飲んで効果が実感できなかったら、二本目には手を出さないのだという。
 「プロポリスはある程度の月日をかけないと、効果が表れないもの。試飲してくださったお客さんの心をどうつなぎとめるかが、業界が発展していく鍵になるはず」。
 リピーターをどう獲得していくか? その販売戦略が、これからの命運を分けそうだ。   (つづく)
 ■訂正 連載第九回中、オカモト・タカシ氏はフルモト・タカシ氏の間違い。訂正します。

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