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日本の専門家が研究報告=CIATEコラボ会議=(下)=「職能支援必要」の声も

講演後には会場参加者と質疑応答の時間が設けられ意見交換が行われた

講演後には会場参加者と質疑応答の時間が設けられ意見交換が行われた

 CIATEが11日に開催したコラボラドーレス会議では、日本の専門家も多数参加して研究報告を行った。
 尾崎正利青森中央学院大学教授は、「東海における移住労働者の雇用紛争の性質および解決プロセス」を講演。「言語や習慣の差から労働者自らの力で紛争を解決するのは困難な状況。しかしコミュニティユニオンと呼ばれる地域を単位にした労働組合が労働者と連携する動きがみられる」との傾向を発表した。
 少年院院長として非行デカセギ子弟の更正に携わってきた室橋剛市原学園長学園長は、「少年院における外国人処遇」を講演。伯人少年の非行の原因は「躾不足や社会に出る際の自信の欠如からきている」と分析、少年院では自信回復と技術習得を通じて更生を促しているという。
 厚生労働省職業安定局からは大西康之次長が参加し、「外国人労働者の現状」を報告した。15年の在日伯人数は17・3万人で、就労者の3割が工業に従事、全体の54・5%が派遣形態で働く。雇用者の69%が日本語能力を重視。在日伯人側は24万円程度を求めるが、20万円程度が相場であり、希望月収と実際には乖離がある。

例年にない120人が会場に訪れた

例年にない120人が会場に訪れた

 会場から「日系人が高度な職に就けるようキャリア(職能)開発支援が必要なのでは」との質問が寄せられると、「日本社会は学校を卒業することが前提となっている。デカセギの方には、子供をきちんと学校に通わせてもらいたいと強く思っている」と述べた。
 信州大学の島村暁代准教授は、「日伯社会保障協定に関する一考察」を講演。デカセギ世代が高齢化した際、年金未加入から多くの人が老後の経済不安を抱えることが予想される。12年に日伯社会保障協定が結ばれ、一方の国で年金を納付した後、もう一方へ移住した場合にも年金の交付が受けられるようになった。日本では国民年金法等の一部が改正され、近い将来、老齢基礎年金の「受給資格期間」が現在の最低「25年」から「10年」へと短縮されることもあり、掛け捨ての不安も減った。
 雇用者側が保険加入をさせないとか、伯人労働者自身が手取り収入を増やしたいために加入しないケースが多い。非正規雇用社員の43・6%、正規社員の3割が未加入とするデータも。「国民年金保険未加入は違法以外の何ものでもない」と労使双方を厳しく批判し加入を促した。社会保障協定については労災や障害年金の支給調整などを課題として挙げた。
 ブラジル学の第一人者である上智大学の堀坂浩太郎教授は「ブラジルの現状と在日日系の存在」について講演。「今年は五輪と政治経済改革が同時に行われた特別な年」と位置づけ、五輪開催で伯国の総合力が発揮され、政治経済改革は民主的手続きの中で粛々と行われたことを賞賛。「一昔前とは別の国」と評した一方で、「制度改革の多くは中身が伴っていない。新しい皮袋には新しいぶどう酒を入れる必要がある」と意識改革の必要性を説いた。

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