5月15日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】パロッシ財務相は十三日、インフレは鎮静されたと発表した。インフレとの戦いは完勝したわけではないが、インフレ動向を表示する三指数が三月から四月にかけ下降したことで、財務相は勝利宣言をした。これで中央銀行の通貨審議会は、基本金利を引き下げる可能性が出てきたと安どしている。
高金利政策で苦境にあえいでいた産業界に、ようやく景気回復の兆しが見えてきた。十三日発表のインフレ指数は、低所得者用のインフレ指数INPC(消費者物価指数)が一・三七%から一・三八%へ上げたのを除いて、下降傾向を示した。
IPC(サンパウロ大学調査の消費者物価指数)は三月の一・二〇%から四月に〇・八一%へ。IGP(ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団調査の総合物価指数)は一・六六%から〇・四一%へ。IPCA(広範囲消費者物価指数)は一・二三%から〇・九七%へ下げた。中銀にとっては青信号が灯り金利も下げ基調に入ると、期待している。
財務相はインフレ完全掌握とはいわないが、制御不可能なハイパー・インフレはもうないと宣言した。インフレ鎮静は今年度の目標で、指数とのにらみ合いはこれからも長い付き合いになるだろうと述べた。
低所得層を最大の犠牲にしたインフレの抑制は、一般国民にとって所得増のカギだとした。インフレ抑制のみで低所得層の生活向上は可能と、財務相の経済理論を披歴した。次の政府目標は、公共債務の削減。これが国家財政の健全度を示す尺度だという。
三月から四月にかけて為替変動による燃料の値下げが、インフレの下降に効果があった。ドル通貨の下落はまだ小売市場には影響がないが、卸売市場にはすでにあるので近くインフレ指数にも表れると、関係者はみている。
IPCAを算出する地理統計院(IBGE)は、三月に食品全般が季節的理由で五七・三五%の値上がりがあったという。四月にトマトが一七・五八%値上がりしたが、インフレ率を押し上げるには至らなかったと報告した。
卸売物価指数に重きをおくIGPでは、一六六%から〇・四一%と大きく下げた。卸売でみるなら一・九三%から〇・〇七%と下げ、デフレの様相だ。五月のインフレ指数は、為替変動と石油製品の値下げでほとんどゼロとみている。
インフレ指数が下降傾向を示しながら、皮肉にも生活必需品バスケット(セスタ・バジカ)は二百十五レアルから二百十七レアルへ値上げしている。中身は衛生用品の一・三四%増、清掃用品の一・〇四%増など。五月に入ってから、さらに米の五・四三%増とフェイジョンの四・三二%増が追い打ちをかける。