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コラム 樹海


 徳島県知事に総務省出身の新人・飯泉嘉門氏が当選した。同県の県民環境部長からの転身で四十二歳。全国最年少の知事誕生である。円藤寿穂知事の汚職事件を発端とする阿波の国の政争は太田正氏を知事に選んだものの県議会との抗争が続き不信任案が可決されての知事選挙だったが、県民は若く行政能力の高い飯泉氏に軍配を挙げる▼選挙は熾烈を極めた。保守県政を掲げる自民党は野中広務元幹事長を筆頭に衆参の議員四十五人が現地に飛び応援し建設業界や特定郵便局などの組織票を総動員しての選挙戦を展開する。太田氏陣営も負けてはいない。民主党が菅直人代表を送れば共産党は志位和夫委員長が演壇に立つ。社民党は土井たか子党首が演説し官業癒着の弊害打破を強調し県民の協調を促すが飯泉支持勢力に力は及ばなかった▼徳島は三木武夫元首相や後藤田正晴元副総理など政界の実力者が多い保守王国といっていい。太田氏も元知事の汚職と逮捕に救われての知事就任であり、真に県民の意向を受けたというよりは僥倖の側面がなくもない。公約であった吉野川可動堰の完全中止も国土交通省との交渉は棚上げにされたままであったのも県民の不信を招いたと見ていい▼このところ長野、青森も知事不信任案が可決されるなど地方自治も難しい局面を迎えている。もう行政の勝手気ままは許さないの県民感情だろうし、県民と県庁との意志の疎通は欠かせない。新人・飯泉知事が阿波の国をどう治めるか│を見守り期待したい。      (遯)

03/05/22

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