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パソコンで日語教育促進=昔 手紙 今 メール=文協・日語教室=日本から文通希望者続々

5月24日(土)

 昔ペンパル、今メルトモ――。一昔前は、手紙によるやり取りを定期的に続けるペンパルが主流だった文通も、インターネットの普及で姿を変えつつある。数多くの日本語受講生を抱えるリベルダーデ区の文協日本語講座では、教室内の掲示板にEメールでのやり取りを希望する日本からの声がズラリ。パソコン上で送信すれば相手の手元にすぐ届くEメールが日伯間の「距離の壁」をなくそうとしている。
 「独学でのポルトガル語のマスター法は?」「ブラジルのことを知りたいです」――。生徒に伝達事項を伝える掲示板には、日本でポルトガル語を学んだり、ブラジルに関心を持つ男女からのEメールによる文通(メルトモ)を希望するメッセージが並んでいる。
 現在、十四歳の女子中学生から三十八歳の男性までの十人が、ブラジルからのメルトモを探している。
 「生徒さんが、日常的に日本語のやり取りを続ける機会になれば」と話すのは、同講座で指導する朝美さん。過去にも日本語を実際に使う場にしてもらおうと、日本からの文通相手を紹介したり、講座の受講生同士で手紙のやり取りを勧めたが、長く続かなかった。
 「一回の手紙をやり取りするのに、一カ月近くもかかるので無理があった」と小平朝美さんは、日伯の距離の遠さを理由に挙げる。
 日本ではパソコンや携帯電話を使ったEメールによるやり取りが定着していることから、朝美さんはブラジルでのメルトモを探すホームページを検索。海外各国からのメルトモを紹介する「マルチリンガルネットワーク」というサイトを発見した。先月末、日本からの希望者のメッセージやプロフィール。Eメールアドレスを掲示した。
 希望者十人の職業や年齢、目的は様々だが共通するのはブラジルへの関心。
 「昔、七年間ブラジルに住んでいた」との女子大学院生(二二)や「ブラジル人児童の教育問題を研究している」との男子大学生(二一)のような学生だけでなく、「将来は外国で日本語教師をしたい」という女子中学生(一四)のように希望者は皆、真剣だ。
 現在、約五百人の生徒を抱える同講座では、生徒が日常的に日本人とコミュニケーションを持つ場の確保が悩みの一つだけに、メールのやり取りが学習の刺激になればと期待する。「あるレベルの生徒は、自らの問題点を見つけにくい。日本人とメールすることで表現の疑問や分からない語彙などを発見して欲しい」と小平さんは期待を掛ける。

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