中銀 経済成長率を下方修正=下半期回復を否定=経済状況に悲観的見解=工業 予想以上の後退
7月2日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】中央銀行のイラン・ゴウドファイン通貨政策担当理事は三十日、任期最終日を迎え二〇〇三年の経済成長率を一・五%と下方修正し、空前の金融危機に見舞われた昨年と同程度と発表した。下半期から奇跡的経済成長を期待できるとした大統領発言とは裏腹の見解だ。三月に発表した予想の二・二%を下回る悲観的なもので、特に高金利政策の影響をもろにうける工業部門の落ち込みが、予想以上に大きかったためとしている。
今年下半期に経済成長の景観が見られるとした大統領発言は、ぬか喜びなのか。中銀の経済成長率予測は、昨年十二月の二・八%から三月には二・二%へ下げ、六月は昨年並みの一・五%へさらに下げた。
第二・四半期の国内総生産(GDP)をみると頼みの農産物は六・〇%から五・八%に下げた。サービスは一・八%から一・五%に下げ、工業部門は二・一%から〇・七%へ下げた。海外投資は世界的な減少傾向だが、百三十億ドルから百億ドルへ減った。
二〇〇三年の経済成長率は、金融危機で大揺れした二〇〇二年と同程度というのだ。長期にわたって経済危機に見舞われたアルゼンチンでさえ、二〇〇三年度の経済成長率を三%としている。チリは三・一%、メキシコは二・三%、ロシアは四%の予想だ。
中銀理事を辞任し、七月一日をもって最後の奉公になるゴウドファン氏の最後の報告では、長期経済成長に向けた基盤は完成という。中銀は単にインフレ抑制の努力だけでなく経済成長への準備も行い、国際通貨基金(IMF)と協定した財政黒字を達成、外債も今年末にはGDPに対し〇・九%に縮小すると予測。
インフレ率はこれから、目標値以内を推移するとみているが、経済成長への折り返し点〃Dデー〃を明示するのは難しいと、大統領発言へのコメントを避けた。今年は昨年より低率で地味な経済成長になると、中銀はみている。
消費の伸びに平行して、設備投資の伸びも予想されると述べた。輸出部門の金属、紙、ゴムは、九〇%の稼働率であったため設備投資が急がれているのが、せめての慰めのようだ。
まだ消費の伸びに様子見という企業もある。消費が伸びれば、直ちに投資する構えだ。インフレが沈静したことで、消費者はすでに反応していると中銀は感触があり、消費は確実に伸びるとみている。
中銀の今年の見通しは、ドルが二・八五レアルから三・二一レアル、金利は二六%。インフレは一〇・八%で、目標インフレ率八・五%は、三年連続で未達成の予測だ。
市場関係者は目標の八・五%を、やればできないことではないが政府は二〇〇四年のインフレ対策に没頭して、今年のインフレ達成は高金利批判と景気低迷で黙殺とみている。