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竹本孝之単独インタビュー=番組テーマ「人生の選択」

7月16日(水)

 NHKの長寿番組『中学生日記』の特別編として、九月六日に同教育テレビで放映される『心の旅inブラジル』の撮影のため、番組で進行役を務める歌手で俳優の竹本孝之さんが十四日着聖、市内ホテルでインタビューに応じた。
 今回撮影される番組『心の旅―』のテーマは「人生の選択」。出稼ぎ子弟が日本で一番多く通う愛知県保見中学校から収録は始まった。卒業を目前に控え、突然、ブラジルに単身帰国した近末ナタリアさん(現在イグアス在住)の追跡取材が番組の軸だ。
 「近末さんは日本で生活して三年ほどにも関わらず優秀な生徒で、新聞を発行するなど地域社会の国際化を図る活動もしていた」
 担当の教師らは当然、日本の高校、大学に進学するものを思っていた。が、結局彼女はブラジルで生きていくことを決める。
 人生の選択を先送りし続ける日本の若者。どこかせつな的な気分も蔓延する。「そんな時代下で、自分の意志で生きていこうとする彼女の選択は新鮮だった」
 『中学生』シリーズは同局で四十年続く。毎年約三百人の中学生を一般公募。番組の出演者として参加してもらうことで、常に若者世代の〃いま〃を伝えてきた。
 竹本さんは三年生を担当する美術教師役。番組に携わって二年半で、二百五十人以上もの〃卒業生〃を送り出した。「生徒とは俳優の自分というより、普段の自分で接している。本当の先生でも親でもないから、彼らにとっては利害関係のない、大人の話し相手でもあるかな」
 〃卒業生〃にはいつも「どう転んでもいい、自分の意志を貫ける格好いい大人になって」と、はなむけの言葉を贈ってきたという。
 死ぬ理由はないけれど、生きていく理由もない。そんな遺書を残し自殺した中学生がいたことを最近のニュースで知った。「あの事件は大人に対する批判だったと思う。年を重ねていくほどに生きる喜びがあることをいまの大人は示さなければ」。

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