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NHK「ちゅらさん」のおばぁ役=平良とみさん8月に=ウチナーグチ一人語り公演=ショーロクラブ、大島保克さん共演

7月19日(土)

 NHK朝の連続小説「ちゅらさん」のおばぁ役で人気を博した俳優の平良とみさんが八月に来伯、ウチナー口(琉球方言)の響きで一人語りの舞台をみせる。ブラジル音楽を奏でる弦楽器トリオのショーロ・クラブ、沖縄・八重山諸島出身で唄・三線の大島保克さんが共演する。『ニライカナイ(海の彼方の楽園)』と題された今公演は十六日(ブラジル日本文化協会)、十七日(沖縄県人会)の二日間。「沖縄の原風景と肝ごころ」がもうすぐ海を渡ってやってくる。

 沖縄、夏の黄昏。西(イリー)の海に太陽(ティーダ)が下がっていく。アダンの木の下で、浜風に当たるおばぁと孫娘がいる。「夕飯ができるまで、二人、夕涼(ユーシラ)みしながら、はなししようねえ」
 ウチナー口による一人語りはそんな風にして始まる。おばぁの心に残る八重山の風景や言い伝えに、三線、ショーロの響きが溶け合う。
 昨年は東京などでの舞台公演のほかに、こうした語りと音楽を収めたCD『ニライカナイ』(ソニー・レコーズ)が発売され、癒(いや)しを求める時代に静かなブームを起こした。
 一に太陽、二に美(チュ)ら海、三に元気なおばぁ―が沖縄の宝、だ。『ちゅらさん』に出演した平良さんによって、沖縄のおばぁの存在はいっそう有名になった。
 NHK開局五十周年を記念して視聴者を対象に実施されているアンケート「もう一度見たいNHK番組」で、『ちゅらさん』は首位をゆく。番組が終わって二年以上が経ついまも、平良さんのところには、おばぁとしての取材依頼が相次ぐ。
 「舞台のうえに立つとまるで『沖縄』そのもののような人」。公演準備のため来伯している大城安恵さんはそう話す。「全身から沖縄のおばぁのオーラがある。本人いわく、『二十八歳ですでに老け役に転じた』そうですから」。
 十三歳から沖縄芝居の一座入り。新劇、テレビと幅広く活動してきた。『マリリンに逢いたい』、『ウンタマギルー』、『ナビィの恋』など映画への出演も多い。「琉球歌劇保持者」として沖縄県からは無形文化財指定に指定されてもいる。
 役者活動を通し、ウチナー口の伝承にも励む。最近は地元の若者でも方言が分からない人が増えている。「将来、沖縄のこころが失われてしまないように、まずことばを残したい」とその想いは強い。
 今年で七十五歳。平良さんは「ブラジルにはまだ昔の沖縄が残っているはず」と、ブラジル公演を心待ちにしているという。
 両日ともに開始時間は午後三時から。入場料は二十レアル。主催はニッケイ新聞、プロデュースはエーオーシー沖縄。国際交流基金が助成している。

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