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コラム 樹海

 この週末は忙しい。東洋街の七夕に郷土祭りもあるし戦後移住五十周年の記念式典も重なる。日本からは県知事さんが四人も駆けつけてくるし歓迎だけでも関係者は大変な騒ぎだろう。七夕も戦後移住も大切だけれども庶民の楽しみは何と言っても「食」と「芸能」が楽しめる郷土祭りに違いない。昨年は大赤字を出して批判が続出したけれども、県連の言う来場者三十万人はともかく多くの人が詰め掛ける▼ふるさとーは、思い出が一杯つまる心の住い。心を癒し人々を力づける民謡と民舞の数々。甲州は武田節。会津の白虎隊。島根はあの有名な安来節。新潟は佐渡おけさーと、それぞれに懐かしくも楽しいお国自慢を披露する。童謡の宮崎ゆりさんと演歌の井上祐見さんも特別出演と日本からの助っ人がいるのも「祭り」を盛り上げる▼母から娘へ。姑から嫁にと伝え受け継がれた味覚は連綿と今に繋がる。味噌の風味。豊かな山菜の彩り。鮒鮨や鮎の鮨もある。郷土の食べ物がいいのは暮らしの智恵が隅々まで生きていることだ。秋田は「きりたんぽ」を引っ提げて来るそうだ。マタギという東北の山の民が生んだ料理とされる。鍋に鶏のスープを張り新米を摺鉢で餅のようにしたのを焼き鶏肉や茸と煮る野趣溢るるものらしい▼埼玉県は「焼き芋」。恐らく川越の名産を模したものだろう。子供のころに食べたあの「味」はしっかと舌に染み付いている。これもまた期待の星ながら肥後の芥子蓮根や鹿児島のさつま揚げもと想いはかき乱れる。郷土祭りでは「眼福」と「口福」を存分に楽しみたい。(遯)

03/07/26

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