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柔道の功績 大きく=大使の推薦だった外務大臣表彰=30日先駆者弔い法要

8月21日(木)

 さきに外務大臣表彰を受けた全伯講道館柔道有段者会(土肥隆三会長)。その受賞に当たっては池田維ブラジル大使の強い推薦があったという。会の幹部である柳森優、岡野修平、石井千秋、関根隆範の各氏が来社、三十日に西本願寺で開かれる柔道先駆者追悼法要への呼びかけと合わせて表彰の理由を報告した。
 パン・アメリカン大会でも目覚ましい活躍振りだったブラジル柔道界。種目別で最多の金メダルをブラジルにもたらした。
 七月二十五日、サンパウロ総領事館で行われた贈呈式に出席した大使は、ブラジルに柔道を普及した移民先駆者の労をねぎらい、オランダ赴任当時に知り合ったという柔道家アントン・ヘーシングについての逸話を披露した。
 初めて柔道が公式種目として認められた東京オリンピック。無差別級決勝でヘーシング選手は神永選手を「けさ固め」で破り優勝を果たす。この際、仲間が歓喜して道場に駆け上がってくるのをヘーシングは制止。試合相手に対し礼を尽くすことに努めたのは知られた話だ。
 大使はこのエピソードを交え、「日本文化の海外への伝達の根幹に柔道は大きな役割を果たしている」と称えたという。
 来社した幹部らは「みんな柔道が好きでやってきたこと」と強調。そのうえで「いま振り返ってみると柔道というスポーツだけに止まらない、文化の普及に少しは貢献したかもしれない」と口をそろえる。
 早くから日本人、ブラジル人の別け隔てなく指導した点も評価される。試合で争うだけでなく青少年の身体強化と躾(しつ)けの向上を目指した。
 「ある意味では農作物以上に豊かな作物を作り出したともいえる。柔道を通じて、ブラジルの土から育った、ブラジルの日本文化が生まれたのだと思う」と岡野氏は締めくくった。
 三十日の追悼法要は今回の外務省表彰を機会に企画されたもので、サンパウロ州柔道連盟との共催。遺族らが故人の写真を持ち寄る。弟子筋や関係者が多数集う予定。
 西本願寺の住所はシャーカラ・イングレザ・サンパウロ、シャングァ街一〇八。地下鉄プラッサ・ダ・アルヴォレ駅下車、徒歩八分。電話275・8231。詳細問い合わせは電話3105・5092(安達敬之助さん)まで。

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