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漢字に魅せられたモライスさんー文協日語講座で講師―4度目の日本研修へー40歳、旺盛な向上心失わず

9月25日(木)

 「漢字は神秘的だ」。
 ブラジル日本文化協会日本語講座で「漢字コース」を担当するアレサンドレ・アウグスト・ヴァローネ・デ・モライスさん(四〇)が日本語教育指導者養成プログラム(国際交流基金主催)に参加するため、二十七日、日本に向けて発つ。同プログラムは基金が国立国語研究所と政策研究大学院大学と提携、一年間で日本語教育号を取得するもの。〇一年より始まった。ブラジルからの参加は三人目になる。初めての非日系人だ。出発を前に、日本語の魅力などを聞いた。
 「ワクワク、ビクビク」。モライスさんは今の心境をこう語った。日本語教育について研究を重ねることへの期待と責任の重さを表現した。
 仕事は通訳、翻訳業。機械技士が本職で、専門の業界からの依頼が多い。サンパウロファッションウイークを見るため、来伯した日本のバイヤーを案内したこともある。
 文協の日本語講座では漢字を担当。成り立ちを丁寧に生徒に教える。書道も取り上げ、好評を得ている。
日本史の造詣が深く、アセベックス主催の講習会などで講師も務める。
 「まだまだ、知らないことばかりで勉強しなければならないことが多い」と旺盛な向上心を見せる。
 実は、同プログラムの応募条件は四十歳までだった。年齢的に厳しいと思われていた。これまでの実績が評価された。
 八〇年代半ば、サンパウロ大学工学部に在籍中、政府主宰の文盲撲滅運動に協力。恵まれない人に国語や数学を教えた。
 日系人の友人がある時、漢字やカナを紹介した。日本語との出会いだった。「アルファベットとは異なる文字をみて、強い印象を受けた。漢字の一つ一つに意味があって勉強すればするほど関心が高まった」。 ポルトガル系二世のモライスさんは、自宅で日本語を使う機会は無かった。母親や鏡の中の自分に話かけて、練習を積んだ。
 日語学校に通いながら、友人のつてで、佐賀県人会の活動にも協力。日系人との交際範囲が広がった。九一年に日本語成績優秀者研修(基金主催)で訪日機会を得た。
 この後、東京都の海外技術研修員(九五年度)、海外日本語教師短期研修(冬期、〇一年)に参加。日本語教育に関して、今回が四度目の訪日になる。
 「インターネットで日本との接触が容易に出来る。漢字を知らなければ、情報収集量は制限される。漢字をよりおもしろく教えるための指導方法を探ってきたい」。力強く抱負を語った。

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