10月2日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十月一日】中央銀行のアフォンソ・ベヴィラックア経済政策担当理事は三十日、九月の二十日間に金融機関ヘの融資申請が増加したことで、経済回復の兆候が認められると報告した。個人融資が前月同期比で三・三%増、企業融資が五・四%増となっていることを明らかにした。また新規採用となる中銀国際金融担当のシュワルツマン理事の口答試問が上院で行われ、賛成二十一票、反対三票で承認された。
中銀の経済政策と国際金融担当の両理事は経済指標を分析して、経済活性化を妨げるインフレの脅威も過ぎ去り、経済の回復に向けた有利な経済的背景が整ったことを発表した。
ベヴィラックア理事は、経済の基礎構造が安定したので国家経済は第二段階に入るとした。今年第四・四半期の企業投資は国内総生産(GDP)に対し一七・九%と近年の水準では低いが、消費の回復が期待されるので次期四半期には企業投資は増加するとみている。
企業の設備投資は九月の二十日間の融資申請の増加で、すでに回復兆候が出ているという。同期間の融資申請は一日平均で個人融資が前月同期比三・三%増、企業が五・四%増であった。この現象は消費者ローンの伸びと消費熱の再来感触を得た企業家の反応であると、中銀はみている。
消費者の購買意欲再来と低金利政策が、少しずつ効果を表している。当初予想のインフレ率一〇・二%は、年末までに八・九%に収まるとの中銀予測だ。低金利のため経済が活性化しても、インフレは下降傾向にあるという見方をしている。
中銀は十月にインフレはやや上向くが、全体に影響は及ばず一定期間で自然消滅するとみている。十月のインフレは、悪性ではないからだとしている。
上院の口答試問でシュワルツマン新理事は、現政権の経済戦略を擁護した。インフレの兆候は多少あるが、健全なインフレであるから通貨政策は良い方向へ経済を導くと証言した。基本金利については高水準だが最悪の段階は過ぎ去り、二〇〇四年には経済成長の妨げにはならないと述べた。
同新理事は国際通貨基金(IMF)との新協定はブラジル経済の生命保険、自動車の事故保険と思って締結し順守すべきだと発言した。たとえ健康であり運転に自信があっても、予期しない事故や病気に備えることは大切だとした。
ブラジル経済は自立できるまで成長し、IMFの干渉を受けることを潔しとせず、新規協定を不要とする意見もある。緊縮政策や通貨引き締めを決定するのは政府自身だから、IMFとの新協定はブラジル主導で締結することだと、新理事は述べた。