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日系人に温かいお言葉=本紙記者特派=紀宮さま日本人会館へ=肖像入り記念切手押印式=大統領の午餐会にご出席

11月19日(水)

 【モンテビデオ市発=下薗昌記記者】ウルグアイを公式訪問している紀宮さま(清子内親王殿下)は十七日、モンテビデオ市内各地で公式行事をこなされた。大統領主催の午餐会や紀宮さまの肖像をデザインに取り込んだ記念切手の押印式にご出席された。また、ウルグアイ在住の日系人が集う日本人会館では、年配の一世らに一人ずつ言葉をかけ、長年の苦労をねぎらわれた。

 同日午前中、イタリア人建築家のモレッツイが設計し、一九二五年に完成した国会議事堂や国立図書館を視察後、紀宮さまは正午過ぎにホルヘ・バジェ大統領をご訪問、同大統領が主催する午餐会に出席された。
 二年前に同大統領が訪日した際の午餐会で、ご一緒された紀宮さまはお言葉の中で「あの日はちょうど私の誕生日に当たっており、大統領閣下は陛下への杯を上げられた後、私の誕生日を祝って下さいました」などと振り返られた。
 また、二年前の日本ウルグアイ国交樹立八十周年を機に、日本庭園や共和国大学での日本語講座が設けられるなど、両国の交流が深まっていることについても「地理的には遠い両国間にも、友好の絆が強まりつつあることが感じられます」と述べられた。
 ウルグアイを代表する十九世紀の画家ブラネスにちなむブラネス美術館では、作品をご覧になった後、同美術館中庭で記念切手の押印式に臨まれた。
 この切手は、日本とウルグアイ国交樹立八十周年を記念して発行されたもの。サイズは縦約三センチ、横約四センチで、右側に紀宮さまの胸から上の肖像、背景に桜の花とウルグアイの国花、セイボの花を配したもの。約一万枚発行。〇一年九月二十三日発行だが、米国同時テロの関係で紀宮さまの訪問が延期されたため、今回の押印式となった。
 また、雨にも関わらず同美術館内にある日本庭園をご視察。ししおどしや小さな滝、小さな茶室などが設けられた庭園で八重桜の記念プレートを除幕された。
 約二百七十人といわれる現地在住の日系人が最も待ちわびた日本人会館のご訪問では、年配の一世から子供たちまでがウルグアイ初となる皇族の来訪を熱烈に出迎えた。創立五十周年を迎えた日本語小学校の児童約二十人は、浴衣姿で紀宮さまを歓迎。同校校歌や童謡「もみじ」を披露した後、代表の児童が花束を手渡した。紀宮さまは、児童一人一人に声をかけられた。
 また、大野鬼生・前日本人会会長がウルグアイの日系社会の歩みなどを写真パネルで説明。来場した一世らの名前や職業などを一人一人、紀宮さまに紹介した。紀宮さまは一人一人に温かいお言葉をかけられた。花卉栽培に携わる森山春雄さん(七二)は「緊張した。どんな花を作っているのかを尋ねられました。本当にうれしい」と興奮気味に喜びを語った。
 紀宮さまは会館内で「清子」とご記帳された後、日本とウルグアイ両国の旗を手にした子供らが見送る中、会館を後にされた。

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